はつなみ型巡視艇

はつなみ型巡視艇とは

はつなみ型巡視艇（はつなみがたじゅんしてい）は、海上保安庁が運用する巡視艇の一種で、1957年に巡視艇の呼称が変更される前の港内艇として設計されました。この船は、PC型に分類され、公称船型は23メートル型です。特に、港内での警備や救難業務を行うために設計されており、全体的な役割が重要です。

背景

海上保安庁が創設された当初、35メートルから47メートル級のPS型巡視船と15メートルから17メートル級のCL型港内艇のギャップが問題視されていました。そこで、15メートル型のCL艇よりも広範囲に警備や救難業務を行える新たなPC型港内艇の開発が急務とされたのが、はつなみ型巡視艇の起源です。

1950年3月、海上保安庁の船舶設計審議会で基本計画がほぼ決定され、その後の調査によって14隻の艇の設計に着手しました。ただし、設計過程において連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）が外板構造に関する特定の要求を出したため、当初の設計が変更されることになったのです。

設計の変更

当初、はつなみ型は専用設計された斜め二重張り構造を持つ計画でしたが、GHQの要求に従い、一重張り外板構造の丸型船型で設計されることとなりました。この設計変更によって動揺性能が懸念され、実際に運用が開始された後には、船長の約3分の1に及ぶビルジキールを追加し、性能を向上させる試みが行われました。

また、GHQの要請に応じて、一重張り外板構造の艇が10隻、従来の斜め二重張り構造の艇が14隻建造されることになりましたが、すでに就役後の両者からは特に構造上の欠陥は報告されていません。

主機関の開発

戦後、国産の舶用エンジンが開発されない状況だったため、1949年9月には、経験者を集めて新たに開発することが決定されました。池貝鉄工所を基にしたディーゼルエンジンが選定され、最終的に出力350馬力のエンジンが新規開発されました。しかし、予算や時間の制約から試作を行わずに量産に移行した結果、初艇の竣工が遅れ、就役後も不具合が発生する事例が見られました。

同型船の運用

はつなみ型巡視艇には、様々な同型船が存在しますが、特に4番船「うらなみ」は1954年の洞爺丸台風での救難業務中に遭難し、全損となりました。この艇は再建造される際に初代むらくも型の設計に基づき、主機関は回収したものを搭載しました。

まとめ

はつなみ型巡視艇は、海上保安庁による安全保障や救難活動において重要な役割を担っており、その設計過程や運用の歴史は、日本の海上安全における努力の一端を示しています。

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