はみだしっ子

三原順『はみだしっ子』：孤独な少年たちの絆と成長の物語

『はみだしっ子』は、三原順によって1975年から1981年まで「花とゆめ」で連載された漫画作品です。親に見捨てられたり、親を見限ったりした4人の少年、グレアム、アンジー、サーニン、マックスが共同生活を送りながら、心の彷徨と成長を経験する物語です。

作品概要

連載と単行本

1975年1月号に読み切り作品『われらはみだしっ子』が掲載された後、連載作品となりました。単行本は花とゆめコミックスから全13巻が刊行され、その後、愛蔵版全5巻、白泉社文庫全6巻としても刊行されています。

あらすじ

4人の少年たちは、それぞれの家庭に複雑な事情を抱え、親元を離れて放浪生活を送っています。彼らは様々な場所を転々とし、様々な人々と出会い、助けられたり、裏切られたりしながら、互いの固い絆を頼りに生きていきます。ある事件をきっかけに、彼らはさらに深く重い苦悩を抱えながら生きていくことになります。数年後、4人はクレーマー夫妻に養子として迎えられ、新たな生活を始めることになりますが、過去の出来事が彼らを苦しめ続けます。

舞台設定

作品の舞台は明示されていませんが、作者は「英語圏であることは間違いない」と語っています。また、裁判制度などについてイギリスを参考にしたとも述べています。作中には「サーニンは英国人だ」という台詞も登場します。

年代についても明記されていませんが、1981年に発表された番外編「楽屋裏」において1979年晩秋であることが示唆されています。

登場人物

グレアム：4人の中で最年長。冷静で論理的な思考の持ち主。過去のトラウマを抱えている。
アンジー：女優の私生児として生まれ、小児麻痺を患う。料理が得意で、直感的な思考をする。
サーニン：母親の死後、失声症になる。動物好きで、特に鳥や馬を愛する。
マックス：酒乱の父親から虐待を受けていた。天真爛漫で泣き虫。

文章表現と音楽

登場人物の会話や内省は、論理的に言葉を尽くして説明されるため、ネームの量が多くなっています。また、文や台詞が言い切りにならず、読者の読解力に委ねられる表現が多用されています。作中には、ジョーン・バエズ、ピーター・ポール&マリー、ジャニス・ジョプリンなど、作者の趣味が反映された音楽が登場します。

作品の魅力

少年たちの心の葛藤と成長

『はみだしっ子』の最大の魅力は、複雑な家庭環境に苦しむ少年たちの心の葛藤と成長が丁寧に描かれている点です。彼らは、孤独や不安、過去のトラウマと向き合いながら、互いを支え合い、成長していきます。その姿は、読者に感動と希望を与えます。

社会からの疎外と連帯

この作品は、社会から疎外された少年たちの連帯を描いています。彼らは、社会の枠組みに収まることができず、はみだし者として生きていくことを選択します。しかし、その中で、互いを理解し、支え合うことで、心のよりどころを見つけていきます。彼らの姿は、現代社会における疎外感や孤独感を抱える人々に、勇気を与えてくれます。

深い人間洞察

作者である三原順は、人間の心理を深く理解し、それを作品に反映させています。登場人物たちの複雑な感情や行動は、読者に共感や感動を与え、人間とは何か、生きるとはどういうことかを深く考えさせます。

まとめ

『はみだしっ子』は、孤独な少年たちの心の葛藤と成長、社会からの疎外と連帯を描いた、感動的な物語です。深い人間洞察に満ちた作品であり、多くの読者に共感と感動を与え続けています。未読の方はぜひ手に取ってみてください。

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