はやせ (掃海母艦)

掃海母艦「はやせ」

「はやせ」（ローマ字表記：JDS Hayase, MST-462、ASU-7020）は、海上自衛隊の掃海母艦として特別に設計された艦艇です。1960年から運用されていた旧型艦の代替として、昭和44年度の防衛力整備計画に基づき建造されました。

来歴

「はやせ」は、アメリカ海軍から退役した「ハミルトン・カウンティ」を購入、改装された艦艇に代わって、より現代的な掃海母艦として造られました。旧艦では老朽化が進んでいたため、新しい艦艇の必要性が高まっていました。1970年、石川島播磨重工業で起工し、1971年には進水し、同年内に就役しました。その後、第1掃海隊群に編入され、呉に配備されました。

設計と装備

「はやせ」の設計は、同年度に建造された機雷敷設艦「そうや」と多くの共通点を持っています。しかし、本艦は全通二層甲板を有した平甲板型で、艦首と艦尾には強いシアが掛けられています。船体構造は防衛庁の基準に従いながらも、造船所の基準に基づく方法で建設され、多くの部材が日本工業規格（NK規格）に準じています。

艦の後部には、KV-107II-3掃海ヘリコプターが発着できるヘリコプター甲板が設置されています。ただし、搭載能力は持たず、起動用電源や空中給油装置など、特定の設備が備えられています。機雷庫も完備されており、2型の機雷敷設装置により、最大115個の3000ポンド級機雷を積載できる能力を有します。

兵装としては、護衛艦「わかば」から譲り受けた68式50口径3インチ連装速射砲、機雷処分用のMk.10 20mm単装機銃、さらに対潜能力を付与するためのSQS-11A中周波ソナーと68式3連装短魚雷発射管が装備されています。

「はやせ」の主な任務は、掃海隊を支援することにあり、掃海艇への補給を行うことが想定されていました。具体的には、艦尾甲板には5トンのクレーンが設置され、掃海艇への物資供給や掃海具の輸送に利用されていました。また、艦内に設けられた工作室や補用品倉庫は、部品修理や整備作業のための重要なスペースとなっています。

艦歴

「はやせ」就役後は、1988年に兵装が更新され、1991年には湾岸戦争後に行われたペルシャ湾掃海任務には旗艦として派遣されました。2002年には老朽化に伴い除籍されることとなり、翌年には後継艦「ぶんご」が配備されました。その間の航程は約414,164.1浬に達し、地球を約20周分に相当する成果を収めました。さらに、艦の錨は金刀比羅神社に奉納されるなど、艦歴を物語る貴重な存在となっています。

「はやせ」は、海上自衛隊の掃海作戦において重要な役割を果たし、後の艦艇に大きな影響を与えた艦でした。

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