ばら輝石

バラ輝石：バラ色の宝石

バラ輝石、別名ロードナイトは、その名の通りバラ色の美しい輝きを持つ鉱物です。その魅力的な色合いから、古くから宝飾品として珍重されてきました。しかし、バラ輝石は単一の鉱物ではなく、近年では「バラ輝石グループ」として、いくつかの種に分類されていることをご存じでしょうか？

バラ輝石の性質

バラ輝石は、化学組成式からケイ酸塩鉱物に分類されます。かつては輝石の一種と考えられていましたが、現在では準輝石に属するとされています。その組成は、主にマンガンとカルシウム、ケイ素からなり、鮮やかなバラ色はマンガンに由来します。結晶構造は三斜晶系で、菱マンガン鉱などのマンガン鉱床で産出されます。

透明度の高いバラ輝石は希少で、特に高品質なものは、研磨加工され、ネックレスやブローチなどの高級宝飾品として市場に出回ります。一方、透明度が低いものは、観賞用の原石として販売されることも少なくありません。

バラ輝石グループの鉱物種

2019年以前は、バラ輝石は単一の鉱物種として扱われていました。しかし、詳細な研究の結果、マンガン原子の数と配置の違いに基づき、バラ輝石グループは3つの種に分類されることとなりました。

狭義のバラ輝石（Rhodonite）： CaMn3+2Mn2+(Si5O15)という化学組成を持ち、バラ輝石グループの代表的な鉱物です。鮮やかなピンク色から赤紫色まで、様々な色調を示します。

ビッティンキバラ輝石（Vittinkiite）： 組成式を単純化するとMnSiO3となり、パイロクスマンガン石と同質異像の関係にあります。ビッティンキバラ輝石は低温高圧下、パイロクスマンガン石は高温低圧下で生成します。

* フェロバラ輝石（Ferrorhodonite）： CaMn3Fe(Si5O15)という化学組成を持ち、鉄を含んでいるため、バラ輝石よりもやや褐色を帯びた色合いを示します。

これらの鉱物種は、組成の違いによって微妙な色の違いや物理的性質の違いを示しますが、いずれも美しいバラ色を呈することが共通点です。

日本のバラ輝石

日本では、岩手県の野田玉川鉱山がバラ輝石の産地として知られています。この鉱山からは、良質なバラ輝石が産出され、国内外の宝飾品市場に供給されています。

まとめ

バラ輝石は、その美しいバラ色の輝きと希少性から、宝石として高く評価されています。近年では、グループ鉱物としての理解が進み、その多様性も明らかになりつつあります。日本でも産出されるバラ輝石は、国内の宝飾品業界に貢献するとともに、鉱物愛好家にも人気の高い鉱物です。今後も、バラ輝石に関する研究が進み、新たな知見が得られることが期待されます。

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