ばるな (3代)

フェリー『ばるな』の軌跡：東日本フェリーから解体まで

1998年、三菱重工業下関造船所で建造されたフェリー『ばるな』は、その類まれな航海の歴史において、幾多の航路を巡り、数々の出来事を経験しました。本稿では、この魅力的な船の生涯を詳細にたどります。

初期の航路と船体の特徴

『ばるな』は、1998年の就航当初、東日本フェリーにより岩内～直江津航路に投入されました。同時期に就航したブルーハイウェイラインの『さんふらわあ つくば』と船体構造は類似していましたが、船橋周辺構造やエンジン冷却方法に違いが見られました。

商船三井フェリー時代と改名

2000年には室蘭～大洗航路へ転属、その後、2002年6月からは商船三井フェリーが用船契約を結び、大洗～苫小牧航路で活躍しました。この際に船体塗装は、商船三井フェリーのカラーリングである水色を基調としたものに変更され、煙突もオレンジ一色となりました。そして2005年1月、『さんふらわあ さっぽろ（2代目）』として、船体塗装もさんふらわあ仕様に改められました。

引退とその後

2014年に代替新造船の建造が発表され、『さんふらわあ さっぽろ』は2017年10月21日大洗発便をもって引退しました。当初は2017年8月の引退が予定されていましたが、新造船の建造遅延により延期され、台風21号の影響で最終便が前倒しとなったのです。

引退後は韓国Seaworld Express Ferryに売却され、木浦港～済州港航路で活躍を続けました。しかし、韓国国内の25年規制により、2022年8月8日に韓国での営業航海を終了。同年、バングラデシュのChittagong Ship Breaking Yardで解体されました。

船内設備と事故

『ばるな』の船内設備については、詳細な記録は残されていません。しかし、当時の旅客フェリーとして一般的な設備が備わっていたと考えられます。

2001年6月17日には、室蘭港で係留中に別の船『れいんぼうらぶ』と衝突する事故が発生しました。この事故は、操縦場所の切替えスイッチの操作手順の不徹底と確認不足が原因とされています。

メディアへの登場

『ばるな』は、いくつかのメディア作品にも登場しています。

PCゲーム『風雨来記3』(2013年)、PS Vita版(2015年)
テレビアニメ『ストライク・ザ・ブラッド』(2013年)
* アニメ映画『ガールズ＆パンツァー 劇場版』(2015年)

これらの作品において、『ばるな』は、重要な役割を担っており、作品の世界観を彩る要素の一つとなっています。

まとめ

フェリー『ばるな』は、1998年から2022年まで、東日本フェリー、商船三井フェリー、そして韓国の海運会社で活躍しました。その航海の歴史は、日本のフェリー業界の歴史の一部であり、多くの乗客の思い出と共に刻まれています。そして、その生涯の最後は、解体という形で幕を閉じました。しかし、その存在は、写真や映像、そして人々の記憶の中に今も生き続けています。

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