ひかりのおと

ひかりのおと

映画『ひかりのおと』は、2013年2月9日より東京で劇場公開された日本の作品です。岡山県真庭市を主な舞台とし、都市部での生活から故郷に戻り、家業である酪農を継ぐことになった青年の内面的な葛藤と、厳しい現実の中で見出すかすかな希望を描いています。監督は、本作が長編映画としてのデビュー作となる山崎樹一郎。彼は自身の活動拠点である岡山県真庭市で、トマト栽培に携わりながら映画制作を行っています。

物語の背景とテーマ

本作の主人公は、祖父の代から三代続く酪農家を継ぐため、東京での暮らしを離れて故郷へUターンします。慣れない地方での生活や、伝統的な家業を受け継ぐことの重圧、そして家族や地域社会との関係性の中で様々な困難に直面します。物語は、彼が現実と向き合いながら、未来に対する不安や迷いを抱えつつも、徐々に自身の居場所を見つけ、前へと進もうとする姿を追います。単なる地方回帰の物語としてだけでなく、現代の若者が直面するアイデンティティの確立、古い価値観と新しい価値観の衝突、そして故郷という場所が持つ意味などが、真摯な視点で描かれています。美しい真庭市の風景を背景に、人間の内面の揺れ動きが静かに紡ぎ出されます。

公開までの道のり

『ひかりのおと』は、まずその製作地である岡山県内において、地域に密着した形で公開が始まりました。2011年10月29日から約5ヶ月間という長期間にわたり、県内全域の51ヶ所の会場で、合計100回に及ぶ巡回上映が実施されました。これは、地域住民に作品を届けるための独自の試みでした。

この県内での巡回上映での反響を経て、作品は全国へと広がりを見せます。大阪のシネ・ヌーヴォでの公開を皮切りに、各地のミニシアターなどで順次劇場公開がスタートしました。そして、2013年2月9日からは、東京・渋谷のオーディトリウム渋谷にて公開され、首都圏の観客にも届けられました。地方で生まれ育った作品が、草の根的な活動を経て全国に広がっていった、その独特の公開経緯も本作の特筆すべき点です。

キャストとスタッフ

本作に出演する主なキャストは以下の通りです。

藤久善友
森衣里
真砂豪

作品を支えたスタッフは以下の通りです。

脚本・監督：山崎樹一郎
プロデューサー：桑原広考、加納一穂、岡本隆
撮影：俵謙太
照明：大和久健
録音：近藤崇生（丹下音響）、大森博之
音楽：増岡彩子
監督補：木村文洋
製作協力：シネマニワ
製作・配給：陽光プロジェクト

受賞歴

『ひかりのおと』は国内外の映画祭や文化賞で評価されました。

第13回岡山芸術文化賞グランプリ
第12回ニッポンコネクション NIPPON VISIONS Award

主な映画祭での上映

国内外の主要な映画祭でも上映され、その芸術性が認められました。

第24回東京国際映画祭 日本映画・ある視点部門
第41回ロッテルダム国際映画祭 Bright Future部門
第7回大阪アジアン映画祭 特別招待作品部門
第12回ニッポンコネクション NIPPON VISIONS部門
アジアフォーカス・福岡国際映画祭2012 特集【〈アグリ・シネマ〉農業と映画】

関連情報

作品に関する詳細情報は、以下の公式および関連ウェブサイトでも確認できます。

公式ウェブサイト
ひかりのおと - allcinema
ひかりのおと - KINENOTE
* ひかりのおと - IMDb（英語）

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