ひとごろし

『ひとごろし』について

『ひとごろし』は、山本周五郎によって書かれた歴史小説であり、1964年に『別册文藝春秋』に初出されました。この作品は、時代を背景にした物語が展開され、映画やテレビドラマ、演劇など、さまざまな形で映像化されています。特に1972年と1976年に製作された映画は、各々異なるアプローチでこの物語を表現しました。

映画版

1972年版

1972年1月21日に公開された映画『初笑いびっくり武士道』は、松竹によって制作され、コント55号が主演しました。この映画は、当時のコメディータッチを取り入れ、観客に笑いを提供しました。監督は野村芳太郎が務め、彼自身が脚本にも関わっており、音楽は冨田勲が担当しました。

主要キャストには双子六兵衛を演じる萩本欽一、妹役の岡崎友紀、仁藤昂軒役の坂上二郎などが名を連ねました。

1976年版

一方、1976年10月16日に公開された映画『ひとごろし』は、松田優作が主演することで注目を集めました。この作品は、松田優作の時代劇における初主演作であり、原作を尊重しつつ新たな解釈を加えた内容となっています。監督は大洲齊が務め、ストーリーは福井藩を舞台にした武士の葛藤を描きました。

物語の概略

物語は、福井藩の武芸指南役である仁藤昂軒が主人公です。ある霧深い夜、彼は嫌われている若い藩士たちに襲われます。昂軒は武士らしく一網打尽にするものの、中級職の藩士である加納が彼の元に立ち向かい命を落とします。これに怒った藩主は昂軒に上意討ちを命じますが、彼を知る藩士たちはこの指命に従う者がいません。

その間、臆病者として知られる双子六兵衛は、自ら名乗り出て上意討ちの討手となります。彼は妹の婚期を逃させた悪評を返上すべく、旅に出る決意をします。しかし、彼は昂軒を追うも逃げ出してしまいます。六兵衛は彼を「ひとごろし」と叫びながらつけ狙い、周囲の人々に恐れられる形で昂軒を精神的に追い込む作戦を続けます。

登場人物とキャラクター

• - 双子六兵衛: 福井藩士で臆病者。己の性格を変えようと旅に出る。言葉遣いは丁寧で、犬が苦手な一面があります。
• - 仁藤昂軒: 福井藩のお抱え武芸者。腕はあるが、その性格が問題視されている。
• - およう: 旅籠の女将で、六兵衛たちの作戦に協力します。
• - かね: 六兵衛の妹で、兄の臆病に悩む役柄です。

テレビドラマと演劇

『ひとごろし』は、1968年から1987年にかけてさまざまなドラマ化もされており、その中でも特に注目される作品がいくつかあります。特に1987年にはテレビ朝日で傑作シリーズとして放送されました。

加えて、この物語は4度の演劇化もされています。1967年から2004年にかけて多様なアプローチで舞台化されるなど、その人気を不動のものとしています。

『ひとごろし』は、武士道や人間性について考えさせられる深いテーマを含み、多くの人々に愛され続けています。

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