ひろしまのピカ

『ひろしまのピカ』は、画家である丸木俊と丸木位里夫妻によって制作された絵本です。1980年に小峰書店から出版され、原爆の悲惨さを描いた作品として、日本国内だけでなく世界中で広く読まれています。20か国以上で翻訳されており、国際的にも高い評価を得ています。

この絵本は、広島原爆によって引き起こされた悲劇を、被爆者の視点から描いています。具体的な描写を通して、原爆の恐ろしさや、戦争がもたらす悲惨さを、子どもにも理解できるように表現している点が特徴です。1987年にはビデオ版も制作され、より多くの人々にそのメッセージを伝えています。

『ひろしまのピカ』は、その内容の重さから、多くの人々に強い印象を与えてきました。第3回絵本にっぽん大賞を受賞しただけでなく、2015年には西日本新聞において、児童書店の代表者や「子どもの読書」関連団体の運営委員、日本子どもの本研究会の会員などによって、「夏休みに親子で読むのにおすすめの絵本」の一つとして紹介されました。また、2020年には、丸善の児童書担当者と児童書編集者が選定した「おすすめの“戦争絵本”」の一つにも選ばれており、専門家からも高く評価されています。

評論家の間でも、『ひろしまのピカ』は注目されています。中川淳一郎氏は、この絵本が描く原爆の地獄絵図が、子供たちの心に戦争への嫌悪感を植え付ける効果があると指摘しています。また、菊間千乃氏は、小学生の時に『ひろしまのピカ』を読んだことで大きな衝撃を受け、戦争をなぜするのかという疑問を持つようになり、戦争関連の本を読みあさるようになったと述べています。これらの証言からも、この絵本が読者に与える影響の大きさがうかがえます。

『ひろしまのピカ』は、単に原爆の悲惨さを伝えるだけでなく、戦争の無意味さや平和の尊さを子供たちに伝える重要な役割を担っています。その衝撃的な描写は、読む人に深い感情的な影響を与え、平和への意識を高める力を持っています。そのため、この絵本は、世代を超えて読み継がれるべき作品と言えるでしょう。

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