ひろすけ童話賞

ひろすけ童話賞（ひろすけどうわしょう）は、日本の児童文学界において、独創的で質の高い作品を顕彰することを目的とした文学賞です。

この賞は、「日本のアンデルセン」と称され、日本の児童文学における重要な足跡を残した山形県高畠町出身の童話作家、浜田廣介（はまだ ひろすけ）氏（1893-1973）の偉大な業績を記念して設立されました。氏の没後、その文学精神と豊かな創作世界を後世に伝え、新たな時代の優れた童話作品の誕生を奨励するため、1989年（平成元年）に制定されました。

選考の対象となるのは、原則として直近1年間で国内において発表された幼年童話および絵本作品です。これらの作品は、主に出版社などの関係機関からの推薦に基づいて候補作が選ばれます。浜田廣介氏の童話が持つ、子どもたちの心に語りかける温かさや、想像力を掻き立てる物語性を受け継ぎつつ、現代的な視点や表現で新しい児童文学の世界を拓く作品にこの賞が贈られます。

賞の運営は、ひろすけ童話賞委員会によって行われます。この委員会の委員長は、浜田廣介氏の故郷である高畠町の町長が務めており、町を挙げて童話文化の振興に力を入れていることが伺えます。授賞式は毎年11月上旬、高畠町にある浜田広介記念館内の「ひろすけホール」にて執り行われ、受賞作家の功績が称えられます。現在の選考委員は、矢部美智代氏、山本省三氏、ねじめ正一氏、浜田留美氏、早川正信氏（敬称略）の各氏です。

以下に、これまでの歴代受賞作品を一覧で示します。

1990年 (第1回) - あまんきみこ『だあれもいない？』
1991年 (第2回) - 安房直子『花豆の煮えるまで 小夜の物語』
1992年 (第3回) - 茂市久美子『おちばおちばとんでいけ』
1993年 (第4回) - 今村葦子『まつぼっくり公園のふるいブランコ』
1994年 (第5回) - 北村けんじ『しいの木のひみつのはなし』
1995年 (第6回) - 上崎美恵子『ルビー色のホテル』
1996年 (第7回) - 松居スーザン『ノネズミと風のうた』
1997年 (第8回) - 戸田和代『きつねのでんわボックス』
1998年 (第9回) - 瀬尾七重『さくらの花でんしゃ』
1999年 (第10回) - 森山京『パンやのくまちゃん』
2000年 (第11回) - 神季佑多『わらいゴマまわれ！』
2001年 (第12回) - 矢部美智代『なきむし はるのくん』
2002年 (第13回) - さだまさし『おばあちゃんのおにぎり』
2003年 (第14回) - 阿部夏丸『オタマジャクシのうんどうかい』
2004年 (第15回) - ねじめ正一『まいごのことり』
2005年 (第16回) - 宮川ひろ『きょうはいい日だね』
2006年 (第17回) - 村上しいこ『れいぞうこのなつやすみ』
2007年 (第18回) - 薫くみこ『なつのおうさま』
2008年 (第19回) - 深山さくら『かえるのじいさまとあめんぼおはな』
2009年 (第20回) - 福明子『ジンとばあちゃんとだんごの木』
2010年 (第21回) - 最上一平『じぶんの木』
2011年 (第22回) - かつやかおり『うずらのうーちゃんの話』
2012年 (第23回) - にしなさちこ『ちいさなともだち―★星ねこさんのおはなし★―』
2013年 (第24回) - 市川宣子『あまやどり』
2014年 (第25回) - 西村友里『たっくんのあさがお』
2015年 (第26回) - 石井睦美『わたしちゃん』
2016年 (第27回) - ささきあり『おならくらげ』
2017年 (第28回) - 萩原弓佳『せなかのともだち』
2018年 (第29回) - にしかわおさむ『ツトムとネコのひのようじん』
2019年 (第30回) - 北川チハル『ふでばこから空』
2021年 (第31回) - いとうみく『きみひろくん』
2022年 (第32回) - 魚住直子『だいじょうぶくん』
2023年 (第33回) - なかがわちひろ『やまの動物病院』
2024年 (第34回) - 丸山陽子『いつもとちがう水よう日』

これらの受賞作品は、浜田廣介氏が後世に託した童話への情熱と精神を現代に受け継ぎ、多くの子どもたちの心に豊かな読書体験を届けています。ひろすけ童話賞は、今後も日本の児童文学の発展に貢献していくことでしょう。

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