ふつつかな悪女ではございますが

『ふつつかな悪女ではございますが』は、中村颯希による日本のライトノベル作品であり、イラストはゆき哉が担当しています。当初は「小説家になろう」で連載されていましたが、後に一迅社ノベルスから書籍版『ふつつかな悪女ではございますが〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』として2020年12月より刊行されました。略称は「ふつつかな悪女」として親しまれています。2024年6月時点で、電子版を含めたシリーズ累計部数は300万部を突破し、その人気ぶりを示しています。

尾羊英によるコミカライズ版が『月刊コミックZERO-SUM』にて2021年2月号から連載されており、「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門で7位を獲得するなど、漫画としての評価も高まっています。2025年3月にはテレビアニメ化が決定しています。

あらすじ

物語の舞台は詠国の後宮。次世代の妃を育成するための「雛宮」には、五つの名家から婚姻前の女性「雛女」が集められています。その中でも、黄家の雛女・黄玲琳は美しさと優しさから「殿下の胡蝶」と呼ばれ、次期皇后の座を約束された存在でした。一方、朱家の雛女・朱慧月は容姿や才能に恵まれず、「雛宮のどぶネズミ」と蔑まれる存在。誰からも愛される玲琳を妬む慧月は、数百年ぶりに箒星が流れた夜、道術を使い、二人の身体を入れ替えてしまいます。

登場人物

黄玲琳（こうれいりん）: 見目麗しく聡明で慈悲深い、黄家の雛女。「殿下の胡蝶」と呼ばれ、皇太子・堯明をはじめ、誰からも愛されています。しかし、病弱な一面を隠し持っています。
朱慧月（しゅけいげつ）: 容姿も器量も人並み以下で、卑屈な性格から「雛宮のどぶネズミ」と疎まれる朱家の雛女。玲琳に対し強い妬みを抱いています。密かに道士としての才能を磨いています。
藍芳春（らんほうしゅん）: 五人の雛女の中で最も幼く、天真爛漫な性格で愛されています。
金清佳（きんせいか）: 煌びやかな美しさを持つ金家の雛女。美や芸術を愛し、優れた才能には誰のものでも惜しみなく賛辞を送ります。
玄歌吹（げんかすい）: 武芸に秀でた、凛とした雰囲気を持つ玄家の雛女。冷静な判断力を持っています。
詠堯明（えいぎょうめい）: 皇太子で、玲琳の従兄妹にあたります。
辰宇（しんう）: 後宮の風紀を取り締まる鷲官長。
黄冬雪（こうとうせつ）: 玲琳に仕える筆頭女官。
莉莉（りーりー）: 慧月に仕える下級女官。
黄景行（こうけいこう）: 黄家の長男で、玲琳の兄。武官を務めています。
黄景彰（こうけいしょう）: 黄家の次男で、玲琳の兄。同じく武官です。
黄絹秀（こうけんしゅう）: 皇后で、玲琳の叔母にあたります。

評価

ダ・ヴィンチWebのayan氏は、本作のコミカライズについて、「入れ替わりモノ」でありながら「妬みや憎しみといった人間らしい感情」がストーリーに深みを与えていると評価しています。また、病弱なヒロインが実は強い精神力を持っている点も魅力として挙げています。『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』などでアニメーション監督を務めた井上圭介氏は、本作の魅力は「玲琳のキャラクター」にあるとし、慧月との入れ替わり後も前向きに生きる姿に感銘を受けたと語っています。さらに、悪役である慧月にも共感できる部分があり、物語が進むにつれて彼女が可愛らしく見えてくると述べています。

既刊一覧

小説

中村颯希（著） / ゆき哉（イラスト）『ふつつかな悪女ではございますが〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』一迅社〈一迅社ノベルス〉、既刊9巻（2024年10月2日現在）

2020年12月28日発売、ISBN 978-4-7580-9323-1
2021年6月2日発売、ISBN 978-4-7580-9370-5
2021年11月2日発売、ISBN 978-4-7580-9412-2
2022年4月4日発売、ISBN 978-4-7580-9453-5
2022年10月4日発売、ISBN 978-4-7580-9497-9
2023年4月4日発売、ISBN 978-4-7580-9542-6
2023年10月3日発売、ISBN 978-4-7580-9587-7
2024年4月2日発売、ISBN 978-4-7580-9632-4
2024年10月2日発売、ISBN 978-4-7580-9680-5
「小冊子付特装版」同日発売、ISBN 978-4-7580-9681-2

漫画

中村颯希（原作） / ゆき哉（キャラクター原案） / 尾羊英（作画）『ふつつかな悪女ではございますが〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』一迅社〈ZERO-SUM COMICS〉、既刊8巻（2025年2月28日現在）

2021年6月28日発売、ISBN 978-4-7580-3626-9
2021年12月27日発売、ISBN 978-4-7580-3689-4
2022年6月30日発売、ISBN 978-4-7580-3760-0
2022年12月28日発売、ISBN 978-4-7580-3838-6
2023年6月30日発売、ISBN 978-4-7580-3905-5
2023年12月28日発売、ISBN 978-4-7580-3977-2
2024年6月28日発売、ISBN 978-4-7580-8540-3
2025年2月28日発売、ISBN 978-4-7580-8655-4
「特装版」同日発売、ISBN 978-4-7580-8656-1

テレビアニメ

2025年3月にテレビアニメ化が発表されました。

スタッフ

原作 - 中村颯希
キャラクター原案 - ゆき哉、尾羊英
監督 - 山﨑みつえ
シリーズ構成 - 中村能子
キャラクターデザイン - 菊池愛
アニメーション制作 - 動画工房

外部リンク

ふつつかな悪女ではございますが - 小説家になろう
ふつつかな悪女ではございますが〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜 (@futsutsuka_PR) - X（旧Twitter）
TVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』公式サイト

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