ぶたまんごころ

ぶたまんごころ

「ぶたまんごころ」は、NHKの国民的音楽番組『みんなのうた』で、2002年2月および3月にわたり紹介された楽曲です。この作品は、作詞をもりちよこ氏、作曲・編曲を上田益氏が担当し、歌唱は、日本を代表する作曲家であり、自身も歌い手として活動した小林亜星氏が手掛けました。

楽曲の概要と特徴

本楽曲の最大の特色は、歌詞の主人公が「ぶたまん」（地域によっては肉まんとも称される食品）の家族を擬人化したキャラクターであるという点です。軽快でノリの良いブギウギ調のリズムに乗せて、ぶたまん家族の日常や心情が描かれます。さらに、歌詞全体が徹底して関西弁で構成されていることも、この曲のユニークさを際立たせています。

楽曲が初めて放送された2002年2月・3月期には、カップリング曲として「大阪ヒューマンランド ～やんか！～」が共に紹介されました。こちらも関西弁で歌われる楽曲であったため、当時の『みんなのうた』の放送回では、立て続けに二つの関西弁ソングが流れるという、非常に珍しい編成となりました。これにより、関西の言葉や文化がより強くフィーチャーされた放送回として記憶されています。

歌唱者：小林亜星氏の特別性

本楽曲「ぶたまんごころ」の歌唱を担当した小林亜星氏は、数々のCMソングやアニメソングを手掛けた著名な作曲家です。彼は過去にも『みんなのうた』に深く関わっており、「わたしの琵琶湖」や「川」など、少なくとも4曲は自身が作曲した楽曲を提供しています。

しかし、「ぶたまんごころ」は、彼が自ら歌唱者として参加した点で、他の提供曲とは一線を画します。驚くべきことに、『みんなのうた』において小林亜星氏が歌唱したのは、この「ぶたまんごころ」が最初であり、そして結果として最後の一曲となりました。小林氏は2021年5月に逝去されており、本楽曲は彼にとって番組における最初にして最後の自歌唱作品となったのです。さらに、彼のようなベテラン作曲家が、自身で作曲した楽曲ではないものを歌うというのは、その長い音楽キャリアの中でも非常に稀な出来事でした。そうした意味でも、「ぶたまんごころ」は小林亜星氏の活動の中でも特筆すべき一曲と言えます。

映像と宍戸留美氏の貢献

「ぶたまんごころ」のために制作された映像は、温かみのある手描き風アニメーションです。このアニメーションのキャラクターデザインを手掛けたのは、歌手や女優、声優として多方面で活躍する宍戸留美氏です。映像制作は、ティー・アンド・エムという会社が担当しました。アニメーションは、楽曲に合わせてぶたまん家族の可愛らしい動きや表情を描き出し、視覚的に楽曲の魅力を伝えています。

宍戸留美氏の貢献はキャラクターデザインに留まりません。楽曲のクライマックスなどで印象的に挿入される、ぶたまんの息遣いを模したかのような台詞「ブホー!!」の声や、楽曲を彩るバックコーラスの一部も、彼女が担当しています。

宍戸留美氏は、『みんなのうた』とは以前から縁がありました。「ぶたまんごころ」の初回放送より遡ること12年前、1990年10月から11月にかけて放送された「リボン結びのWAKU WAKU」では、アイドルグループ「七つ星」の一員として歌唱参加しています。また、「ぶたまんごころ」の放送から約2年半後の2004年8月から9月にかけては、「はだかん帽」という楽曲で再び単独で歌唱を務めるなど、複数の時期にわたり『みんなのうた』の制作に関わっています。

このように、「ぶたまんごころ」は、個性的なテーマ、耳に残るメロディーと関西弁の歌詞、そして小林亜星氏という巨匠の貴重な歌声、さらには宍戸留美氏による温かいアニメーションと多才な貢献が融合した、記憶に残る一曲と言えるでしょう。

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