ぷろふいる

『ぷろふいる』の概要

『ぷろふいる』は1933年に京都で創刊された探偵小説専門の雑誌である。創刊したのは、老舗呉服店の長男であり探偵小説に情熱を燃やしていた熊谷晃一で、彼の本名は熊谷市郎である。なぜこの雑誌が特別な意味を持つのかというと、それは当時の日本の探偵小説界において、最も長い間続いた専門誌の一つであったからである。

創刊の背景

1933年当時、関西地域にはこれまでいくつかの探偵小説専門誌が存在していたが、いずれも廃刊に至っていた。代表的なものには、『探偵趣味』、や『探偵・映画』、さらには『猟奇』があった。しかし、これらが消える中で『ぷろふいる』は、質の高い探偵小説を読者に提供し続けることを目指していた。

編集方針と特色

『ぷろふいる』は創刊当初から関西の作家を中心にしたが、早くから東京の作家にも寄稿を依頼し、多様な作品を展開した。たとえば、熊谷の伯父を通じて東京の作家たちが参加するようになり、小栗虫太郎や木々高太郎など当時の注目作家が寄稿した。さらに、40人以上の新人作家も登場させており、彼らは後にさまざまな分野で活躍の場を求めていった。

作品と作家

同誌には怪奇探偵小説の名手や、本格推理小説を手がける作家たちが次々に登場した。特に西尾正、蒼井雄、金来成といった作家の作品は、後に重要視される事例だ。井上良夫の登場によって英米本格ミステリの紹介や研究も進められ、探偵小説の理解を深める役割も果たした。

また、訳に難があったものの、エラリー・クイーンやドロシー・L・セイヤーズの作品も雑誌に掲載された点が注目される。

編集チームとビジュアル

編集作業を最初に手がけたのは伊東利夫で、後に九鬼澹が編集長に就任した。『ぷろふいる』の表紙イラストは、熊谷の友人である画家が手掛け、後には漫画家などにも任されるようになった。そのうちの一人が横山隆一であった。

廃刊の背景

『ぷろふいる』は1937年まで続いたが、熊谷の事業上のトラブルによって廃刊に至った。そこで、彼は『探偵倶楽部』という別名での発行を試みるが、結局実現しなかった。その際、「雑誌の水準が高すぎて続けるには難しい」との理由で断念したと語っている。

探偵小説界への影響

『ぷろふいる』は、探偵小説の是非を問う多くの議論の場でもあった。特に、読者投稿欄「談話室」でのアマチュアたちの活発な議論や、名作同士の対決も雑誌の特徴の一つであった。探偵小説界の中心としての役割を果たしていた『ぷろふいる』は、その後の日本の推理小説に大きな影響を与えたのである。

まとめ

『ぷろふいる』の影響は、単なる雑誌の枠を超え、後続の探偵小説やミステリー文学に新たな地平を開いたと言える。その多様な執筆者や、質の高い作品により、今もなお多くの読者に愛され続ける根源が垣間見える。

もう一度検索