ぼくらの時代 (1981年のテレビドラマ)

1981年TBS系ドラマ『ぼくらの時代』：新米教師の奮闘と青春の光と影

1981年6月9日から9月22日にかけて、TBS系列で放送されたテレビドラマ『ぼくらの時代』。全16話、毎週火曜日20:00から20:55に放送された、この学園ドラマは、新米教師の成長と、彼を取り巻く生徒や教師たちの織りなす人間模様を鮮やかに描き出しています。

物語の舞台は、東京都多摩地域にある、創立間もない都立高校。主人公の森幸太郎は、四国の大学院を卒業したばかりの28歳の新米国語教師です。2年I組の担任として赴任した幸太郎は、初日から遅刻するというハプニングからスタート。荷物を忘れてしまったことに気づき、慌てて学校に向かう道中、緊張から激しい下痢に襲われ、さらに生徒たちからは授業をボイコットされるなど、散々な船出となりました。

経験不足で、教師としての自信も持ち合わせていない幸太郎ですが、生徒たちとの関わりの中で、少しずつ成長していきます。彼を取り巻く教師陣もまた、個性豊かな面々です。

英語教師の浅間葉子（田中好子）は、教育熱心で、幸太郎に好意を抱きますが、一方でドジな一面も持ち合わせています。日本史教師の平野邦彦（新井康弘）は、誰に対しても調子が良い性格で、最初は教師になるつもりはなかったと語ります。葉子に好意を抱いており、幸太郎とは対照的なキャラクターです。

化学教師で教務主任の植山崇（谷啓）は、無気力ながらも「生きた教育」を志す、どこかユーモラスな人物。数学教師の深井京四郎（石濱朗）は、自称進歩的教師として描かれていますが、いざ問題が起こると現場から姿を消すという一面も。英語教師の弘田きぬ（菅井きん）は、独身のベテラン教師で、若い教師たち、特に葉子には厳しく接します。しかし生徒たちからは人気があり、複雑な人間性を示しています。

教頭である川畑啓（中条静夫）は、幸太郎の憧れの存在でしたが、四国から赴任後、妻と別れ、無気力に陥っています。幸太郎の下宿先の川畑家の長女、あずさ（あべ静江）は、亡くなった母親の代わりに家族の面倒を見ており、恋人が海外にいるという事情を抱えています。

これらの個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間関係、そして、幸太郎が生徒たちと築き上げていく絆が、ドラマの中心をなしています。最初はうまくいかなかった教師生活も、次第に生徒たちとの信頼関係を築き、信頼を得ていく幸太郎の姿は、視聴者に多くの感動を与えます。

また、『ぼくらの時代』は、TBSの緑山スタジオ・シティ竣工後、初めて同スタジオで制作されたドラマという点でも注目に値します。こけら落とし作品として、多くの期待を背負い制作されたドラマは、その期待に応える素晴らしい作品となりました。主題歌は、国広富之が歌う「キープ・オン・ダッシング」。作詞は菊池真美、作曲は西木栄二、編曲は藤田大士が担当しました。

数々の個性的なキャラクター、そして彼らの織りなす人間模様。笑いと感動、そして青春の輝きと影を描いた『ぼくらの時代』は、80年代の青春ドラマを代表する作品として、今もなお多くの人の記憶に刻まれています。

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