ぼてじゃこ物語

ぼてじゃこ物語

『ぼてじゃこ物語』は、1971年4月8日から12月30日まで日本テレビ系列で放送されたテレビドラマです。読売テレビが制作を手掛け、『細うで繁盛記（第1部）』の後番組としてスタートしました。

概要

ドラマは、主人公である雪子が、自身の人生を切り開いていく姿を描いた作品です。オープニングでは、雪子役の三田佳子のナレーションが入り、「女とは哀しい魚。愛という餌を求めて、ひたすらに清い流れをさかのぼる。針の痛さも知らないで」という印象的な言葉が、物語の世界観を表現していました。花登筺が得意とした、困難に立ち向かうヒロインを描いた“根性もの”の作品の一つです。

あらすじ

物語は、琵琶湖畔で育った雪子が、継母の策略により素封家の息子との結婚を強いられるところから始まります。しかし、結婚式当日、相手に愛人と子供がいることを知った雪子は、式場から逃げ出します。あてもなく大阪行きの最終列車に乗り込んだ雪子は、そこで千代という老女に出会い、彼女から商売のいろはを叩き込まれます。千代は、琵琶湖に棲む貪欲な魚「ぼてじゃこ」に例え、「ぼてじゃこになったら、あかんえ」という亡き雪子の母の言葉を胸に、雪子は自立への道を歩み始めます。

千代との出会いを経て、雪子は様々な商売に挑戦します。堂島のオフィス街で菊石を売ったり、道頓堀で紙屑を拾ってわずかなお金に換えたりと、倹約と工夫を凝らした生活を送ります。また、他人の土地の間に所有する僅か二坪半の土地を売却し、芦屋で曰く付きの廃屋を購入。知己の落語家（フランキー堺）に高座のネタにしてもらい「縁起なおし」をするなど、大胆な手法で利益を上げていきます。

千代は、建設会社を経営する息子たちとの折り合いが悪く、末っ子の宗六に期待を寄せていました。そして、雪子に大金を預け、それを元手に商売をするように促します。雪子は宗六の協力を得て土地を安く手に入れ、家を建てて売ることを思いつきますが、和風建築では売れないと千代に叱られます。しかし、千代はその家を買い取り、雪子と宗六に住むように勧め、雪子を宗六の嫁に迎えたいと告げます。

宗六から求婚された雪子は悩みますが、千代の言葉を受け入れ、結婚を決意します。しかし、宗六の兄は雪子の素性を調べ始め、会社の株が妻の一族に握られていることを知ります。その結果、堤建設は乗っ取られ、宗之助は命を落とします。

妊娠に気づいた雪子は、宗六との結婚を諦め、上京します。そこで再会した知人の錦織は、かつての面影はなく、困窮した生活を送っていました。雪子は、錦織を手伝ううちに、おにぎりの行商を思いつき、様々な困難を乗り越えながら、ついには成功を収めます。その成功を支えたのは、亡き母の遺訓と、千代から教わった商売の知恵でした。

雪子の商才は周囲にも影響を与え、倒産の危機にあった菓子問屋も、雪子に触発された夫婦が始めたサンドイッチ販売で息を吹き返します。やがて、雪子は「花錦弁当株式会社」を設立し、更なる成功を目指します。故郷で男の子を出産した雪子の元に、宗六と千代が駆けつけ、物語は幕を閉じます。

テーマ

「ぼてじゃこ」とは、琵琶湖に棲む雑魚の一種で、貪欲に餌に食いつくものの、すぐに捨てられてしまう魚です。雪子の母の言葉「ぼてじゃこになったらあかん」は、目の前の利益に目がくらみ、足元を疎かにするなという教えです。この言葉は、雪子の人生を通して、常に重要な指針となります。

キャスト

雪子：三田佳子
堤川千代：ミヤコ蝶々
堤川宗六：本郷功次郎
堤川宗之助：高田次郎
堤川敬子：扇千景
けい：原知佐子
牧田輝男：船戸順
錦織：大村崑
花岡：加東大介
修：竜雷太
敏恵：亀井光代
とく：沢村貞子
フランキー堺
ほか

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