本郷功次郎

本郷功次郎の生涯と業績

本郷功次郎（ほんごう こうじろう）は、1938年2月15日に岡山県岡山市で生まれました。彼の俳優生活は1950年代から始まり、特に大映映画で知られる存在となりました。岡山県立岡山朝日高等学校を卒業後、立教大学文学部英米文学科で学びました。大学時代は柔道部に所属しており、その経験が彼の後のキャリアに大いに影響を与えました。

俳優としての出発

彼が映画の世界に入るきっかけを作ったのは、叔母が持っていた本郷の柔道の写真でした。この写真が縁となり、松山英夫という大映の重役の目に留まりました。大映は当時、柔道を題材にした映画を制作しており、若手の柔道映画スターを求めていました。本郷は、最初は俳優業に対して消極的でしたが、「柔道映画なら仕方がない」との理由で出演を決意し、大映演技研究所に入所しました。彼の映画デビュー作は、1959年の「講道館に陽は上る」で、ここでの演技が彼の本格的なスタートとなりました。

映画キャリアの発展

本郷は、様々な役を演じる中で急速に名を馳せました。「空手バカ一代」や「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」など、多くの作品で彼の柔道技術を活かしたパフォーマンスが評価されました。特に「講道館に陽は上る」では、長回しでの柔道技のシーンが実際に撮影され、従来の吹き替えとは異なる演技が新たな魅力として観客に受け入れられました。本郷は、当時の柔道映画ブームを支える役割を果たしました。

1961年には、日本初の70mm映画「釈迦」で主演を果たし、その後も数多くの作品に出演しました。特に市川雷蔵に可愛がられたこともあり、彼との共演が多くありました。激しい撮影スケジュールをこなしながらも、時代劇から現代劇まで幅広いジャンルで活躍し、若手スターとしての地位を確立しました。

笑い話と苦労の数々

俳優業は順調でしたが、それに伴う苦労もありました。文芸映画に対する思いが強かった本郷は、「ガメラ」シリーズへの出演には乗り気ではなく、時には逃げ隠れすることもありました。その中でも、仲間に協力を得ながら重病の芝居を打ったエピソードが後に語り継がれることになります。しかし、彼の俳優人生は嬉しい思い出で満ちており、特に平成になって「ガメラ 大怪獣空中決戦」に出演した際には、過去の自分を振り返り、感慨深い気持ちを抱いたそうです。

終わりなき活躍

1969年まで大映で主演として活躍した後は、他の映画やテレビドラマに多様な役柄で出演し、特に「特捜最前線」の橘警部役は長年のレギュラー出演となり、代表作の一つとなりました。事故や病気による休業を経て、リハビリを重ね、かろうじて芸能界に復帰しますが、2013年2月14日、心不全により74歳で世を去りました。

本郷功次郎は、その幅広い演技力と多彩なキャリアにより、日本の映画界に多大な影響を与えた俳優の一人であり、その足跡は今もなお語り継がれています。

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