まつもとゆきひろ

まつもとゆきひろ（通称Matz）氏は、1965年生まれの日本のソフトウェア技術者です。オブジェクト指向スクリプト言語「Ruby」の開発者として広く知られ、その功績は国際的に高く評価されています。現在は、株式会社ネットワーク応用通信研究所フェロー、楽天株式会社楽天技術研究所フェロー、Rubyアソシエーション理事長など、複数の要職を兼務しています。また、Herokuのチーフアーキテクトや株式会社ZOZOテクノロジーズ、Linkers株式会社の技術顧問も務めるなど、幅広い分野で活躍しています。

生い立ちと経歴

大阪府で生まれた後、鳥取県米子市で育ちました。鳥取県立米子東高等学校を経て、筑波大学第三学群情報学類を卒業。その後、島根大学大学院博士課程を単位取得退学しています。1993年頃、静岡県浜松市在住時に効率的なプログラミング言語を目指しRubyの開発に着手。最初の「Hello, world!」の出力に半年を費やしたものの、その後はRuby開発を楽しみながら続けられたと語っています。1995年には、株式会社トヨタケーラム在籍中にRubyを公開。2004年にRuby on Railsが発表されると、Rubyは世界中で利用されるようになりました。

1997年からは島根県松江市に在住し、ネットワーク応用通信研究所 (NaCl) のフェローとして勤務。2007年からは楽天技術研究所のフェローも兼務しています。Rubyの普及を目的とする一般財団法人「Rubyアソシエーション」の理事長としても活動しています。

Rubyのソースコードへのコミットは全体の一割以下ですが、その貢献は計り知れません。

評価と受賞

経済評論家の勝間和代氏は、新規事業の成功例として、まつもと氏を他の著名な起業家とともに挙げています。また、2009年にはRuby開発の功績が認められ、松江市名誉市民に選ばれました。2012年には、国際社会での顕著な活動が評価され、内閣府から「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」の一人に選ばれています。

私生活と人物像

東京などの都会よりも地方での生活を好むと語っており、鳥取県で育った後も、茨城県つくば市、静岡県浜松市、島根県松江市と地方都市で暮らしています。末日聖徒イエス・キリスト教会の信者であり、大学在学中には2年間休学し、宣教師として活動した経験も持ちます。Perlの開発者であるラリー・ウォール氏を尊敬していると公言しています。

受賞歴

2005年度 日本OSS貢献者賞
2009年 松江市名誉市民
2012年 The Award for the Advancement of Free Software (フリーソフトウェア財団)
2013年 FIT2013船井業績賞

主な著作

『オブジェクト指向スクリプト言語Ruby』(アスキー、1999年) 共著
『Ruby デスクトップリファレンス』(オライリー・ジャパン、2000年)
『ソフトウェアの匠』(日経BP社、2004年) 共著
『ビューティフルコード』(オライリー・ジャパン、2008年) 共著、翻訳
『プログラミング言語 Ruby』(オライリー・ジャパン、2009年) 共著
『まつもとゆきひろ コードの世界』(日経BP社、2009年)
『言語設計者たちが考えること』(オライリー・ジャパン、2010年) インタビュー収録
『まつもとゆきひろ コードの未来』(日経BP社、2012年)

まとめ

まつもとゆきひろ氏は、Rubyの開発を通じてプログラミングの世界に大きな影響を与えた人物です。その技術力だけでなく、人間性も多くの人々に支持されています。Rubyの普及と発展に尽力し、現在もなお、ソフトウェア技術者として幅広い分野で活躍し続けています。

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