ラリー・ウォール

ラリー・ウォール（Larry Wall）は、1954年9月27日生まれの、プログラマー、言語学者、そして文筆家として多岐にわたる才能を発揮している人物です。彼の名前が広く知られるようになったのは、1987年に彼が開発したプログラミング言語Perlによるものでしょう。Perlは、その柔軟性と強力なテキスト処理能力で、多くの開発者から支持されています。

また、ウォールは「プログラマの三大美徳」を提唱した人物としても知られています。この三大美徳とは、怠惰、短気、そして傲慢であり、これらは、効率的なプログラミングを促すための精神的な指針として、多くのプログラマーに影響を与えました。

ウォールは1976年にシアトルパシフィック大学を卒業し、修士号を取得しています。その後、彼はソフトウェア開発の世界で数々の業績を上げました。その中でも特に重要なのは、Usenet用のニュースリーダーであるrnの開発、そして、UNIX環境で広く利用されているテキスト差分適用プログラム、patchの作成です。patchは、プログラムのソースコードやドキュメントの変更を効率的に管理するために、今日でも広く使われています。

さらに、ウォールは、そのプログラミング技術の高さを競うコンテストであるIOCCC（International Obfuscated C Code Contest）で、2度の優勝を果たしています。このことは、彼の卓越したプログラミングスキルを証明するものでしょう。1998年には、フリーソフトウェアへの貢献が評価され、第1回フリーソフトウェア財団賞を受賞しました。

ウォールは、言語学にも深い造詣があり、その知識はPerlの開発とその後の著作活動に活かされています。特に、Perlの解説書である『プログラミング Perl』は、「ラクダ本」として知られ、多くのPerlプログラマーにとっての聖典となっています。この本は、Perlの深い理解を得るための必携の書として、今もなお高く評価されています。また、『Perl クックブック』の編集にも携わり、Perlに関する知識を広めることに貢献しました。

ウォールの著作物は、コンピュータ関連の出版物を数多く発行しているオライリー・メディア社から出版されています。彼の著作は、プログラミングの知識だけでなく、その背景にある思想や哲学を学ぶ上で重要な資料となっています。

現在もウォールはPerlの開発に携わっており、Perlコミュニティからは「優しい終身の独裁者」として尊敬されています。彼のリーダーシップのもと、Perlは進化を続けており、多くの開発者に利用されています。

関連人物

まつもとゆきひろ：プログラミング言語Rubyの開発者。RubyはPerlから大きな影響を受けており、まつもとはラリー・ウォールを尊敬する人物として公言しています。まつもと氏のRuby開発における思想やアプローチには、ウォールの影響が色濃く反映されています。

外部リンク

Larry Wall's Home Page
本家インタビュー：Perl開発者ラリー・ウォール - スラッシュドットによるラリー・ウォールへのインタビュー（2002年9月）
ラリー・ウォール＠Perlは、とっっても愛妻家！／Ｔｅｃｈ総研 - Tech総研によるラリー・ウォールへのインタビュー（2008年5月）

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