末日聖徒イエス・キリスト教会

末日聖徒イエス・キリスト教会の概要

末日聖徒イエス・キリスト教会（LDS）は、イエス・キリストの教会の復元を求めるキリスト教系の新しい宗教として位置付けられています。教義は非三位一体派であり、通常のキリスト教からは「異端」の見方がされることがありますが、日本の文化庁によると正式にはキリスト教の一派として認識されています。教義の基本としては、イエス・キリストや使徒たちの教えが現代まで十分に伝承されていないとし、その回復を団体の中心に据えています。

教会の創設と歴史

1830年、ジョセフ・スミス・ジュニアがアメリカでこの教会を創設し、彼は14歳の頃に神からの啓示を受けたと言われています。その啓示において神は、当時存在していたすべての教会が誤っているとして、彼を選びイエス・キリストの教会を設立するよう命じたとされます。教会の教義には、キリストの再臨や千年王国、個人の自由意志に基づいた救いの概念が含まれています。

教会の規模と活動

末日聖徒イエス・キリスト教会は、2022年12月時点で全世界におよそ1,700万人の会員を抱え、その中には62,544人のフルタイム宣教師がいます。米国の会員は670万人を超え、キリスト教の教派の中ではアメリカで4番目の規模を誇ります。教会の本部はユタ州ソルトレイクシティに位置し、そこから世界中へ布教活動が行われています。

教会は以前「モルモン教」と呼ばれていましたが、教会の指導部はその名称の使用を避けるよう要請しています。

教義

末日聖徒は、父なる神、イエス・キリスト、聖霊をそれぞれ独立した存在と考え、彼らは人類の救済という目的において一貫して協力する存在であると信じています。教義には、アダムの咎、贖い、最終的な裁きの概念があり、個人の行いによる審判を強調しています。神の国には「日の栄え」、「月の栄え」、「星の栄え」という三つの段階が存在し、それぞれ異なる救いのレベルを示しています。

聖典

教会の教義においては、『聖書』以外にも『モルモン書』が重要な聖典とされています。モルモン書は、古代アメリカの歴史を記したもので、ジョセフ・スミスによって翻訳されました。また、教義と啓示を記録した『教義と聖約』や、古文書からの翻訳を含む『高価な真珠』も聖典として重要視されています。

社会的な側面

教会は災害時には支援活動を行い、ボランティア団体を通じて多くの地域で人道的支援が行われています。メキシコやオーストラリアなど、世界各国での活動があり、特に日本では東日本大震災後に復興活動を具体的に展開しました。このような社会貢献が信者に重視されています。

批判と論争

末日聖徒イエス・キリスト教会は、教義やその歴史に対する批判も存在します。特に、教義の非正統性や横暴な教団運営についての疑念が続き、特に脱会した信者の中には、精神的な影響を訴える人々がいます。しかし教会は信者に対する支援を続け、その改革を図っています。

まとめ

末日聖徒イエス・キリスト教会は、近代におけるキリスト教の一形態として、独自の教義と信念を持ち、国を超えた広がりを見せている宗教です。教義の再解釈や社会貢献への積極的な姿勢は、今後の課題とともに、信者たちの信仰生活に大きな意味を持ち続けるでしょう。

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