まむしの兄弟

まむしの兄弟：社会の底辺で生きる義兄弟の物語

『まむしの兄弟』は、1971年から1975年にかけて東映で制作された、菅原文太と川地民夫を主演に迎えた人気ヤクザ[[映画]]シリーズです。その後、1997年には柳葉敏郎と中村繁之主演でリメイク版も制作されました。本シリーズは、侠客を自称する義兄弟が、悪党たちと戦う痛快な物語で知られています。

頭の悪い義兄弟と、予測不能な展開

脚本を担当した高田宏治氏は、従来のヤクザ[[映画]]とは一線を画す、コメディ要素を巧みに織り交ぜたストーリーを展開しました。主人公である政（菅原文太）と義弟の勝（川地民夫）は、徹底的に「頭の悪い」キャラクターとして描かれています。社会の底辺で生きる二人は、安藤昇演じるヤクザなどの大物に目をつけますが、そのお粗末な頭脳ゆえに、悪徳ヤクザたちに利用され、周囲の人々を巻き込むトラブルに陥る、というのがシリーズのお決まりのパターンです。

変わらない義兄弟像と叙情的な側面

しかし、二人は独立心が強く、警察やヤクザ組織に対しては強い反骨精神を持ち合わせています。一方で、根は優しく、極悪非道な輩に対しては容赦しないという、彼らの性格は全シリーズを通して一貫しています。さらに、戦災孤児である二人それぞれの母親への深い愛情も、物語全体を通して丁寧に描かれています。そのため、『まむしの兄弟』シリーズは、他のヤクザ[[映画]]とは異なり、叙情的な印象を与える作品に仕上がっていると言えるでしょう。

シリーズ共通のパターンと個性豊かなエピソード

シリーズの大まかな流れは、以下の通りです。まず、政が出所し、勝が迎えにきます。出所祝いとして豪遊した後、ヤクザとトラブルになり、海や川に投げ捨てられるという展開が定番でした。その後、政は美女に惹かれ、その美女が政と勝が敵対する組織と何らかの関係を持っていることが判明します。復讐のために組織に乗り込みますが、上手くいきません。そして、仲間が巻き込まれ、最後は仲間の仇を討つため、車で組織の建物に突っ込むといった派手なアクションシーンで締めくくられることが多いのです。最後に、警察に逮捕されるという、痛快で予測不能な展開が、シリーズの魅力の一つとなっています。

9作品とリメイク版、そして逸話

シリーズ作品には、『懲役太郎 まむしの兄弟』、『まむしの兄弟 お礼参り』、『まむしの兄弟 懲役十三回』、『まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯』、『まむしの兄弟 刑務所暮し四年半』、『まむしの兄弟 恐喝三億円』、『まむしの兄弟 二人合わせて30犯』、『極道VSまむし』、『まむしと青大将』などがあります。1997年には、柳葉敏郎主演によるリメイク版も制作されました。

菅原文太のファンである明石家さんまは、自身の番組で菅原文太本人の前で川地民夫のモノマネをするほどの熱烈なファンであり、その縁で1997年のリメイク版にも出演しました。しかし、その演技はビートたけしから酷評されたという逸話も残っています。また、脚本の高田宏治氏は、『ブルース・ブラザース』の監督が『まむしの兄弟』を見ていないというのは嘘だろうと発言しており、両作品の間には共通点があると示唆しています。

神戸の愚連隊をモデルにしたという説もありますが、信憑性はないようです。

『まむしの兄弟』は、独特のコメディタッチと社会派的な要素を融合させた、他に類を見ないヤクザ[[映画]]シリーズとして、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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