まむしの兄弟 二人合わせて30犯

まむしの兄弟 二人合わせて30犯

1974年3月1日に公開された、菅原文太と川地民夫主演による『まむしの兄弟』シリーズ第7作。工藤栄一が監督を務めた東映京都撮影所製作の作品である。

あらすじ

20回目の懲役を終え、大阪刑務所を出所したゴロ政は、迎えに来るはずの弟分・勝の姿が見当たらず、戸惑う。映画撮影現場を本物の誘拐事件と勘違いした政は、遅れてきた勝と大騒ぎを起こし、警察に連行されてしまう。釈放後、神戸・新開地に戻った二人は、女泥棒・ジュンを暴漢から救う。その暴漢は、新開地を牛耳る加賀組の組員だった。組員にやり返された政と勝は、腹いせに加賀組経営のキャバレーで騒ぎを起こし、捕まってしまう。しかし、ジュンに救出され、彼女と「五分の兄弟分」となる。

ジュンは、サラリーマンの依頼で、上司を殴るサービスを始め、政と勝を使って大儲けする。一方、加賀組は「まむし退治」を目論み、神龍会幹部の塚本と組んで、ある計略を仕掛ける。塚本は、勝が芦屋の資産家・尾澤家の相続人だと告げ、弁護士の本間を介して勝を尾澤邸へ誘い込む。実は、これは塚本が会社社長・尾澤宗夫と組んだ財産乗っ取りの策略だった。

勝は政を連れて尾澤邸へ行き、母と紹介された弥生と会う。弥生は病気で失明していたが、政と勝は純粋に彼女を心配する。弥生が塚本の子飼い医師に毒を盛られているとは知らない二人は、弥生の回復を願い、ウナギを大量に強奪。弥生はウナギのおかげで視力を回復し、健康を取り戻す。

弥生の回復に焦った本間は、政に「勝彦の将来のため、ここを去るべきだ」と助言し、政はわざと勝を殴り、尾澤邸を去る。その後、塚本と本間は医師を使って弥生を薬殺しようとするが、勝に見つかり、弥生とともに逃げ出す。勝は弥生を政の元へ連れて行く。加賀組は弥生を奪還しようとするが、政と勝が時間稼ぎをしている間に、ジュンはチンピラと協力して弥生を郊外のモーテルに隠す。

政と勝は捕らえられ、加賀組のキャバレーに監禁される。そこで真相を知るが、隠し持っていた灯油で脅し、遺言状を奪うことに成功する。しかし、それはキャバレーの招待状で、本物の遺言状は加賀組の事務所にあった。一方、ジュンたちが隠れているモーテルが加賀組に見つかり、ジュンは刺殺されてしまう。

駆けつけた政と勝は、弥生を救出し、ジュンの仇を討つため、加賀組事務所に殴り込み、組員を倒す。しかし、警察に囲まれ、再び刑務所へ送られる。

主要キャスト

政太郎（ゴロ政）：菅原文太
勝次（不死身の勝）：川地民夫
ジュン：東三千
尾澤弥生：三宅くにこ
塚本：渡辺文雄
本間忠雄：菅貫太郎
加賀：成田三樹夫

スタッフ

監督：工藤栄一
企画：橋本慶一
脚本：鴨井達比古
* 音楽：広瀬健次郎

制作の背景

本作のタイトルは、当初『まむしの兄弟 鉄格子が待ってるぜ』であった。また、監督の工藤栄一が、冒頭の映画撮影シーンに監督役で出演している。

メインテーマには、1972年のヒット曲『赤色エレジー』のインストゥルメンタル版が使用され、作中には同曲を口ずさむシーンが複数存在する。

その他

同時上映作品は、堀越陽子主演の『女囚やくざ』であった。

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