まんがギャラリー&マーケット

まんがギャラリー&マーケット（MGM）とは

MGM（Manga Gallery and Market）は、創作漫画同人誌の即売会です。コミックマーケットを創設した漫画批評集団「迷宮」が主催しており、同サークルの代表であった亜庭じゅん氏が中心となって運営していました。長らく川崎市中小企業婦人会館を会場としていましたが、施設の閉館により一時休止。その後、板橋区の会場で復活し、現在は長谷川秀樹氏が主催を務めています。

歴史

MGMの前身は、1980年8月にコミックマーケットから分離独立した「まんが・ミニ・マーケット」です。1981年にMGMと改称されました。「迷宮」はコミックマーケットの母体でしたが、コミックマーケットの規模拡大や、パロディ系ジャンルの増加に伴い、運営から距離を置くようになりました。その結果、MGMは独立し、現存する即売会の中ではコミックマーケットに次ぐ歴史を持つことになりました。

初期から最盛期にかけては、比較的規模が大きく、知名度も高い即売会でした。会場が手狭になり、参加サークルを制限するために、さまざまな試みが行われました。例えば、ベテランサークル限定の「ADULT ONLY」や、女性サークル限定の「FOR LADYS'」など、ユニークな参加資格が設けられたこともあります。

しかし、他の主要な即売会が規模を拡大していく一方で、MGMは1990年代半ばから縮小傾向にありました。1999年には会場を半分に仕切って開催され、参加サークル数も最盛期の5分の1未満に減少。2000年には開催時間が短縮されました。2003年に会場の改修工事が行われましたが、同館の5階大ホールを利用することで、開催は継続されました。近年では、年間2回ほどのペースで開催されています。

2007年3月末には、長年会場としていた川崎市中小企業婦人会館が閉館。最後の開催となった「MGM97」には、多くの参加者が集まり、往年の賑わいを見せました。しかし、今後の開催予定や移転先は未定のまま、MGMは休止状態に入ります。

その後、2011年に主催者の亜庭氏が死去。2012年 1月22日には、板橋産業連合会館で「MGM98」が開催され、復活を果たします。この際には、亜庭氏を偲んで「MGMメモリアル読書会」も開催されました。「MGM98」には、想定を大きく上回るサークルが参加し、会場には「亜庭じゅん氏追悼の間」も設けられました。

運営の特徴

MGMは、漫画同人誌の即売会としては小規模な部類に入ります。漫画同人誌に関わる主要な年齢層における知名度も高いとは言えません。しかし、商業主義的な価値観に染まらず、1970年代～1980年代初期の同人誌即売会の雰囲気を今に伝える貴重な存在です。主催者、サークル参加者、一般参加者間の距離が非常に近いのが特徴で、毎回、終了後には参加者が車座になって意見を交わし合うなど、他の同人誌即売会では見られない光景が繰り広げられています。この雰囲気は、黎明期の素朴さと、学究的な雰囲気が混ざり合った独特なものです。

一方で、主催者と参加者がほぼ固定化しているため、新規参加者の参入が難しいという指摘もあります。また、参加者の高齢化も課題として認識されていますが、具体的な解決策はまだ見出されていません。

MGMは、創作漫画同人誌専門の即売会としては草分け的な存在であり、原画の展示や見本誌コーナーの設置、カタログに掲載するサークルカットに毎回異なるテーマを設定するなど、作者と読者を結びつける様々な試みを行っています。また、オフセット誌を排除したコピー誌や手作り本を対象とした企画や、豆本オンリーの即売会を開催するなど、実験的な試みも積極的に行われてきました。これらの試みは、アマチュアによる創作漫画同人誌の原点を再確認する上で好評を得る一方、規模の小さい活動にフォーカスし過ぎているという批判もあり、長くは続きませんでした。

現状

休止状態から復活した「MGM98」のカタログでは、主催スタッフが「とりあえず区切りの100回を目標とし、以後については意見希望を参考にしながら考えて行きたい」と述べています。

その後、2012年 6月10日に「MGM99」が板橋区立グリーンホールで開催され、閉会後には参加者全体で事後集会を行う体制が確立されました。2012年 9月1日には「MGM100」の前夜祭として「MGM99.5」が開催され、2013年 1月27日には「MGM100」が開催されました。「MGM100」の事後集会では、亜庭氏の名を冠したMGMを完了させ、設立当初の趣意を継いだ新体制として「MGM2」に名称を変更しました。

2013年 9月8日には「MGM2.01」が開催され、以降、板橋区立グリーンホールで「MGM2.xx」の名称で、年間3～4回ペースで開催が継続されています。

MGMは、商業主義に偏らない、アマチュア精神を大切にする同人誌即売会として、独自の存在感を放っています。

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