みいつ (クルアーン)

みいつ（御厳、御稜威）とは

「みいつ」は、クルアーンの第97章を指し、その内容はムハンマドに捧げられた初の啓示が下された夜について述べています。この章は「ライラ・アル＝カドル」（みいつの夜）として知られ、特に神の啓示が恵まれた特別な日とされています。

初啓示の時期とライラ・アル＝カドル

ムハンマドへの初めての啓示は、西暦610年のラマダーンの最後の10日の中の奇数日、つまり7日、9日、または11日のいずれかにあったとされています。この日を称して「ライラトルカドル」と呼びます。クルアーンの第44章第3節には「祝福された夜」という表現もあり、これはライラ・アル＝カドルに関連しているとの解釈があります。

この章や多くのハーディスの記述からは、その夜に神への祈りや嘆願、悔い改めが特に重要であるとされていますが、正確な日付は不明です。ムスリムはこの神聖な夜を特別に尊重し、特に神の恩恵を求めるために祈りを捧げます。

みいつの意味

「カドル（Qadr）」という言葉には、井筒俊彦によると「神の意志の決定」や「神の威力」、「至高の地位」といった意味が込められています。クルアーンのこの章名は、日本語で「稜威章」や「定め」、「聖断の章」というように様々に訳されています。日本語の「みいつ」は日本ムスリム情報事務所によるものです。

また、第4節には「精霊」という表現があり、この精霊は一般的にジブリール（ガブリエル）を指していると考えられています。彼は神のメッセージを人間に伝える役割を担った重要な存在です。

啓示の背景

この章がマッカでの啓示かメディーナでの啓示であるかについては、学問的な議論があります。クルアーンの背景にある歴史的な文脈や啓示の状況を理解するためには、ムスリムの信仰に影響を与えた地域的な要因や社会状況を考慮する必要があります。一部の研究者は、この章がメディーナ期に関連している可能性もあると指摘しています。

参考文献

「みいつ」に関する詳細な理解を深めるためには、下記の文献が参考になります。これらは、クルアーンの解釈や歴史に関する信頼できる資料です。

• - 井筒俊彦 訳『コーラン』 （下）、岩波書店、1958年。
• - 大川周明 訳『古蘭』、岩崎書店、1950年。
• - 大塚和夫 編『岩波イスラーム辞典』岩波書店、2002年。

このように「みいつ」は、イスラームにおける重要な概念であり、多くの信者によって特別な意義を持たれる神聖な夜に関連する章です。神の存在や意志、そしてそれに基づいた生活の重要性を教えていると言えるでしょう。

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