みくみくにしてあげる♪【してやんよ】

「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」は、2007年にika_mo（鶴田加茂）が作詞・作曲し、音声合成ソフト「初音ミク」をボーカルに用いて制作された楽曲です。ニコニコ動画やYouTubeなどの動画共有サイトで公開され、瞬く間に人気を集めました。この楽曲は、初音ミクを題材としたキャラクターソングとしても知られています。

概要

この曲は、VOCALOID 初音ミクのブームを牽引した代表的な楽曲の一つとして広く認知されています。2008年の調査では、初音ミクの楽曲を聴いたことがある人のうち、約7割がこの曲を聴いたことがあると回答しています。歌詞の内容は、擬人化された初音ミクが、自身をパソコンにインストールするよう促すというユニークなものです。

タイトルの「みくみく」という言葉は、「ボコボコにしてやんよ」という言葉を語源とし、初音ミクに夢中になる様子を表すスラングとしてファン間で使われています。この表現は、この曲の大ヒットによって定着したとされています。

もともとショートバージョンとして制作されたわけではありませんが、MOSAIC.WAVとのコラボレーションにより、ロングバージョン「みんなみくみくにしてあげる♪」が制作され、アルバムに収録されています。ただし、作者の鶴田は、ロングバージョンへの自身の関与は一部であると述べています。

ニコニコ動画でのヒット

2007年9月にニコニコ動画に投稿されると、圧倒的な支持を得て、投稿からわずか8日で50万回再生を突破しました。一時はニコニコ動画で最も再生された動画にもなっています。2012年には、VOCALOID 楽曲として初めて、ニコニコ動画で1000万回再生を達成しました。

ニコニコ動画では、既存の動画を再利用した二次創作が盛んで、この曲も多くの派生作品が生まれました。3Dプロモーションビデオや「歌ってみた」動画、方言バージョンなど、様々な形で楽しまれています。

商業展開

この曲は、2007年11月に着うた配信が開始され、同年12月には業務用カラオケでの配信も始まりました。これは、初音ミク関連楽曲としては初の試みでした。

また、複数のコンピレーションアルバムや、初音ミクを題材としたゲーム『初音ミク -Project DIVA-』にも収録されました。その他、カバーアルバムやオムニバスアルバムにも多数収録されています。

2018年には、スマートフォンゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』にもカバー版が収録されました。

JASRAC登録をめぐる騒動

2007年12月、この曲は著作権使用料の徴収を目的として、JASRACに信託されました。しかし、この決定に対し、ファンから強い反発が起こりました。

この曲は二次創作が盛んであったため、管理団体に信託されることで、これらの作品の利用に許諾や使用料が必要になるのではないかという懸念が生まれました。さらに、ドワンゴ・ミュージックパブリッシングが、初音ミクの発売元であるクリプトン・フューチャー・メディアの許可を得ずに、アーティスト名を「初音ミク」として登録したことも問題となりました。

ドワンゴ・ミュージックパブリッシングは、アーティスト名の登録ミスを謝罪し、修正に応じました。しかし、信託に至った経緯や、他の曲の着うた配信を巡る問題など、両社の間で意見の食い違いが生じ、お互いのウェブサイトで主張を応酬する事態となりました。

作者のika_moは、この騒動の中で「もうけ主義」という批判を受け、「みんなの自由な利用を制限する気はなかった」とコメントした後、ブログを閉鎖しました。

この出来事は、ネットユーザーがコンテンツを「自分たちが育てたもの」と捉え、著作権者と対等であるという意識が強くなったことの表れであるとも分析されています。

その後、ニコニコ動画で発表された楽曲を著作権管理団体に登録することには批判的な意見が多くなりました。しかし、楽曲がカラオケで人気が出始めると、著作権管理団体に信託していないために報酬が得られないという不公平感が生まれました。2011年ごろからは、ドワンゴやクリプトンなどが、ネットでの自由な利用と著作権管理の両立を目指すようになりました。

現在では、インターネット発の楽曲を著作権管理団体に信託することは、当たり前のこととなっています。

脚注

ニコニコ動画で1000万再生を達成したVOCALOID 楽曲
初音ミク関連楽曲の商業展開の先駆け
著作権管理とネット文化のあり方を問い直すきっかけとなった

関連項目

ニコニコ動画
初音ミク

外部リンク

【初音ミク】みくみくにしてあげる【してやんよ】‐ニコニコ動画
* MOSAIC.WAV × 鶴田加茂 × 初音ミク　コラボレーションCD企画!!

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