着うた

着うたの概要

「着うた」とは、自身が好きな楽曲を約30秒にカットして携帯電話の着信音として利用できる音楽配信サービスを指します。
主に日本で、高機能携帯電話（いわゆる「ガラケー」）向けに普及し、その文化は特に日本独自のものでありました。世界展開も試みられましたが、他国ではほとんど普及しませんでした。スマートフォン全盛の現代では、着信音に対する嗜好は薄れつつありますが、2022年現在でも着うたを利用した音楽配信サービスは存在します。

【商標と運営】
「着うた」という名称は、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標であり、原盤権を持つ大手レコード会社が共同出資しているレーベルモバイル社がこのサービスの配信を行っています。音楽データは、各携帯電話事業者固有のフォーマットで符号化されているため、ユーザーが自らデータを作成するのは難しい仕組みです。

【着うたの人気】
2006年から2009年には「レコチョク新人杯」などが開催され、新人アーティストの登竜門でもありました。GReeeeNの『愛唄』が多くのダウンロードを記録したことに象徴されるように、このサービスは商業的な成功を収め、着うたは日本の音楽産業に新たな収入源をもたらしました。

着うたの発展と変遷

初期：着メロからの進化

着うたは2001年に始まった「着メロ」から発展し、2002年にボーカル入り楽曲の配信が始まりました。そして、2003年にはKDDIがauブランドの携帯電話で初めて着うたサービスを開始しました。当初は市場規模が小さく、2004年には約200億円でしたが、数年で着うたが急増しました。この増加には、パケット通信料金の定額化や携帯電話でのインターネット閲覧可能性が寄与しています。

着うたフルの登場

2004年にはKDDIが「着うたフル」と呼ばれるサービスを導入し、楽曲全体をダウンロードできるようになり、音楽の楽しみ方が広がりました。この「着うたフル」により、人気アーティストの楽曲の配信が加速し、その後の2007年以降の市場拡大を支えました。

スマートフォンの影響

2010年代に入ると、iPhoneやAndroidスマートフォンが急速に普及します。AppleのiTunesでは、DRMフリーの音楽を手ごろな価格で提供し、日本の音楽配信市場を席巻しました。この結果、着うたの利用者は減少し、日本の音楽配信市場はスマートフォンのエコシステムにシフトし始めました。特に、着うたの配信形式は、スマートフォン用の音楽配信サービスに不利に働き、結果として着うた市場は縮小していきました。

着うたミニの登場とサービスの終了

2010年になると、「着うたミニ」という短いバージョンのサービスが発表されましたが、これもあまり盛り上がらず、2010年代初頭にはスマートフォンの普及によりあまり需要がないままに終息しました。最終的に、2016年12月には従来型携帯電話向けの着うたサービスが終了し、スマートフォン向けの配信には引き続きサービスが行われている現状があります。

自作着うたとその背景

ユーザー自身で着うたを作成することも行われており、一部層には自作需要がありましたが、キャリアごとに厳しい制約が多く、結果的に手続きは複雑であったと言えます。これにより、自作着うたを提供するサイトも現れましたが、著作権の問題が生じることもありました。

このように、着うたは日本独自の音楽配信文化として、長い歴史を持つ一方で、現代の音楽配信市場におけるシフトにも影響を受けてきたのです。今後、着うたがどのように進化していくのか、注目されるポイントです。

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