みずほ (巡視船・2代)

海上保安庁巡視船「みずほ」：日本の海の守護者

「みずほ」(PLH-41)は、海上保安庁が運用する大型巡視船です。その威容は、ヘリコプター2機搭載型巡視船という分類(PLH)からも想像できる通り、日本の広大な管轄海域を守る上で重要な役割を担っています。建造費用は約154億円に上り、その性能と役割の重要性を物語っています。船名は、日本の伝統的な呼び名である「瑞穂」に由来しており、日本の豊かな自然と安全な海を守るという使命を象徴しています。

誕生の背景：広大な管轄海域と老朽化

1979年、国際海事機関（IMO）が海上捜索救難に関する国際条約（SAR条約）を採択しました。これに基づき締結された日米SAR協定により、日本は北緯17度線以北、東経165度線以西という広大な海域の捜索救難責任を負うことになりました。この広大な海域をカバーするため、海上保安庁は昭和57年度から「広域哨戒体制の整備」に着手。その一環として、昭和58・61年度計画で初代「みずほ」型巡視船が建造されました。初代「みずほ」型は、優れた航続力と航空運用能力で活躍しましたが、老朽化が進み、代替船の建造が必要となりました。

そこで建造されたのが、本船「みずほ」です。先代の能力を継承しつつ、尖閣諸島や小笠原諸島といった離島・遠隔海域での活動、そしてヘリコプターを活用した広範囲な捜索救難活動を想定した設計となっています。

設計：安定性と高速性を両立

平成10年代中盤、海上保安庁は高速性能を重視した高速巡視船艇の整備を進めていました。しかし、これらの高速船は、短周期の揺れや乗員への負担が課題でした。一方、従来の排水量型船は、航続距離は長くても速度が不足するという問題がありました。

「みずほ」の設計では、これらの課題を克服するため、くにがみ型巡視船で採用された抵抗低減技術をベースに、船体形状の工夫や新型主機を採用することで、安定性と高速性を両立させています。特に、IHI原動機製の新型ディーゼル機関4基を搭載したCODAD方式（ディーゼル機関直結推進方式）は、合計24,000馬力の強力な推進力を生み出し、航行性能の向上に大きく貢献しています。また、環境規制に対応するため、選択触媒還元脱硝装置（SCR）も搭載しています。

装備：多様な任務に対応する装備

「みずほ」は、多様な任務に対応するため、様々な装備を搭載しています。兵装としては、70口径40mm単装機関砲（Mk.4）と20mm多砲身機関砲を備え、海上における警備能力を高めています。また、遠隔放水銃や停船命令表示装置、遠隔監視採証装置といった最新の機器も搭載されています。

他船への支援能力も重視されており、多数の係留ポストや給電・給水・給油設備を備えています。大型クレーンも搭載されており、資材や物資の輸送にも活用できます。船内には大型の清水タンクと独立した補給用燃料タンクも備えており、長期間の活動にも対応可能です。

ヘリコプター運用能力も重要な要素です。当初は先代「みずほ」の搭載機であったベル412が搭載されていましたが、老朽化に伴い、2024年にはSUBARUベル412EPXに更新され、より高度な捜索救難活動が可能となっています。

船歴と将来展望

2019年8月22日、名古屋海上保安部に配属されました。当初は初代「みずほ」の代替として計画されていましたが、様々な事情から増強配備となりました。今後、本船をベースにした国際業務対応・練習船の建造も計画されており、日本の海上保安体制の更なる強化に貢献していくものと期待されています。

「みずほ」は、単なる巡視船ではなく、日本の海洋安全保障を支える重要な拠点です。その存在は、日本の海を守る意思と、未来への投資を示すものと言えるでしょう。

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