みどり (スーパーマーケット)

スーパーマーケット「みどり」からフジへの道のり：激動の企業史

1964年、広島県で誕生したスーパーマーケット「みどり」は、地域に根差した中堅企業として成長を遂げ、その後、数々の変遷を経て現在のフジへと姿を変えました。その歴史は、時代の変化と企業努力、そして戦略的な提携が織りなすドラマに満ち溢れています。

草創期とフランチャイズ契約

「みどり」の創業は1964年9月。中国繊維社長だった秋友荘次氏らによって設立され、同年10月には大竹店が開業しました。その後、1971年にはイズミとフランチャイズ契約を締結。「ニューいづみ」として営業を開始し、イズミからの技術指導や商品供給を受けながら、順調に事業を拡大しました。しかし、成長に伴い、ロイヤリティ負担の増加や独立への意欲の高まりから、1976年にはフランチャイズ契約を解消。再び「みどり」として独自路線を歩み始めます。

積極的な店舗展開と経営危機

フランチャイズ解消後も、「みどり」は積極的な出店戦略を展開しました。広島県内を中心に、次々と新店舗をオープン。1986年には15店舗を擁するまでに成長します。しかし、地場産業の不振や消費不況の影響を受け、積極投資は裏目に。1986年2月期には赤字に転落し、経営危機に陥ります。

ジャスコとの業務提携と再生

経営再建のため、「みどり」は山陽ジャスコ（現・イオン）との業務提携を決定。山陽ジャスコからの資本参加、経営指導、情報・人材・システムの活用などを得ることで、企業再生に乗り出しました。ジャスコによる4000万円の第三者割当増資を受け、ジャスコは25%の株式を取得。ジャスコからの経営陣派遣も受け入れ、本格的な改革に着手します。

新業態「ザ・ビッグ」への転換

業務提携後、「みどり」は粗利益率向上と商品回転率の改善を目指し、新業態「ザ・ビッグ」を開発。1989年より既存店の「ザ・ビッグ」への転換を開始し、1991年末までに全12店舗を新業態へと切り替えました。さらに、山陽ジャスコから3店舗を譲り受け、ザ・ビッグへの転換を進めました。1994年には新店をオープンし、企業再生を達成します。

マックスバリューを経てフジへ

その後、「みどり」はマックスバリューの展開を開始。1999年には山陽ウェルマートと合併し、「山陽マックスバリュー」に社名変更しました。2000年にはマックスバリュ西日本と合併。そして、マックスバリュ西日本は2024年3月、フジおよびフジ・リテイリングと合併し、最終的にフジに法人格が承継されました。

主要店舗の変遷

「みどり」時代から「ザ・ビッグ」時代、そして現在のフジに至るまで、多くの店舗が歴史の証人として存在しました。大竹店、戸坂店、高陽店、船越店、岩国店、廿日市店、五日市店、焼山店、グリーンマート皆賀店、グリーンマート宮内店、フレンズ宮内店、グリーンマート矢口店、グリーンマート宇品店など、それぞれの店舗は独自の歩みを辿り、現在もその跡地には別の商業施設が建ち並んでいます。また、山陽ジャスコから譲渡された下関駅店、可部店、安古市店なども、それぞれの場所で時代の変化を映し出しています。

まとめ

「みどり」の歴史は、地域密着型スーパーマーケットの成功と苦難、そして時代の波に乗りながら変化を遂げる姿を示しています。ジャスコとの提携、新業態への転換、そしてフジへの統合という一連の過程は、企業が生き残りを賭けて戦略的に対応していく姿を浮き彫りにしています。その歴史は、日本のスーパーマーケット業界の変遷を象徴する一つの事例として、今後も語り継がれていくことでしょう。

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