みどり (人工衛星)

日本の地球観測衛星「みどり」

「みどり」とは、日本が開発した地球観測プラットフォーム技術を搭載した衛星で、正式名称はAdvanced Earth Observing Satellite（ADEOS）です。この衛星は1996年8月17日に、種子島宇宙センターからふじ3号と共にH-IIロケットの4号機によって打ち上げられました。「みどり」は、地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯雨林の消失、異常気象の発生などの環境問題に取り組むための観測データを収集することを目的として設計されました。

衛星の目的と技術

「みどり」は、次世代観測システムに必要なデータ収集と軌道間データ中継技術の開発を行うことを目的としていました。多くの新技術が取り入れられ、運用による成果が期待されていたものの、実際には打ち上げから約6か月後に太陽電池パドルが破損し、機能を喪失しました。このため、衛星の運用は早期に断念せざるを得ませんでした。

故障と運用の断念

1997年6月30日には、みどりが日本上空を通過中に観測データが受信されず、衛星に異常が確認されました。衛星は軽負荷モードに移行し、姿勢を失って地球捕捉モードに入ったことが報告されました。また、太陽電池からの電流がゼロになっており、バッテリーのみでの運用状態であることも特定されました。この異常事態を受けて、緊急対策チームが設置され、衛星の状態を確認するためのコマンドが送信されましたが、応答は皆無でした。

翌日には太陽電池パドルに関する過去のデータが分析され、発生電力の低下が続いていることがわかりました。また、事故後には衛星の軌道にも変化が見られました。このため、事故対策本部が立ち上げられ、状況の把握と原因の特定に向けた準備が進められました。

観測装置

「みどり」では、さまざまな観測装置が搭載されていました。以下に主要な装置を紹介します。

• - OCTS（海色海温走査放射計）：海洋の水色や水温を高感度で観測するための光学センサーで、NIMBUS-7に搭載されたCZCSのミッションを引き継ぎました。可視近赤外域8バンドと赤外域4バンドの観測波長を持つ性能があります。
• - AVNIR（高性能可視近赤外放射計）：可視・近赤外域を用いて陸域の植生を観測するための装置です。
• - IMG（温室効果気体センサ）：大気中の温室効果ガスの分布を測定する装置です。
• - ILAS（改良型大気周縁赤外分光計）：極域の大気の微量成分を測定します。
• - RIS（レーザ長光路吸収測定用リトロリフレクター）：地上局からのレーザー光を反射するためのリトロリフレクターです。
• - NSCAT（海上風測定マイクロ波散乱計）：海上風の風向と風速を測定する装置です。
• - TOMS（オゾン全量分光計）：オゾン量および二酸化硫黄の分布を測定します。
• - POLDER（地表反射光観測装置）：地球表面や大気中で反射される太陽光を測定する装置です。

以上のように、「みどり」はさまざまな環境に関連するデータを収集するための設計がなされていましたが、技術的な問題によりその目的を達成することができませんでした。今後の地球観測衛星開発に向けた貴重な教訓となりました。

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