みどりII

みどりII（ADEOS II）について

みどりIIは、地球観測技術を専門とする日本の衛星で、正式名称はAdvanced Earth Observing Satellite II（ADEOS II）です。この衛星は、宇宙開発事業団（NASDA）が技術開発を行い、2002年12月4[[日]]に種子島宇宙センターからH-IIAロケットによって打ち上げられました。みどりIIは、1996年に打ち上げられた初代「みどり」の後継機として位置付けられています。

目的と使命

この衛星の主な目的は、地球温暖化やオゾン層の減少、熱帯雨林の減少、異常気象といった、地球全体の環境変化を把握し、それに関するデータを収集することです。以前の「みどり」の名前を受け継いでいますが、新たな世代の衛星として「II」と名付けられました。これにより、単に数字を付けるのではなく、新たな進化を示す意図が表れています。

運用と故障

みどりIIの設計寿命は3年とされていましたが、2003年10月25[[日]]に重大な故障が発生しました。この日の午前中、埼玉県鳩山町の地球観測センターでデータの受信ができず、宇宙センターの職員が状況を確認しました。その結果、衛星の電力系統に異常が見つかり、観測機器は軽負荷モードへ移行しました。このモードは、消費電力を抑えるために必要最小限の機器のみを稼働させるものです。

午前中の時点で、太陽電池パドルが供給する電力は6kWから1kWへと急激に低下したことが判明し、その結果、衛星との通信が不可能になりました。JAXA（宇宙航空研究開発機構）は、数ヶ月間にわたって衛星の状態を解析しましたが、交信の復旧には至りませんでした。解析の結果、故障の原因としていくつかの仮説が提唱されましたが、太陽電池が短絡または開放によって発生電力が減少した可能性が指摘されています。スペースデブリの衝突が原因とは考えられていません。

観測機器の詳細

みどりIIには、いくつかの先進的な観測機器が搭載されています。

• - AMSR（高性能マイクロ波放射計）: 地表面や大気から放射されるマイクロ波を測定し、水のデータを取得するための装置で、NASDAが開発。
• - GLI（可視赤外イメージング放射計）: 地表面や雲の反射光を観測し、温度や植生のデータを高精度で収集する光学センサー。
• - ILAS-II（改良型大気周縁赤外分光計II型）: 高緯度地域のオゾン層を監視するための大気センサーで、環境省が開発。
• - SeaWinds（海上風観測装置）: 海上の風速や風向を測定する装置で、NASAが手がけました。
• - POLDER（地表反射光観測装置）: 地球表面や雲、海からの反射光の特性を測定します。

これらの観測機器は、地球環境の変動や即応する必要性を理解するために重要な役割を果たしました。

結論

みどりIIの打ち上げと運用は、地球環境の理解を深めるための重要なステップでしたが、期待される成果の途中で運用が中止されるという結果になりました。これは、科学技術の進展や新しい衛星の開発における課題と共に、より良い地球観測の重要性を再確認する契機ともなりました。

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