めぐり逢い (1994年の映画)

めぐり逢い（1994年）

1994年に製作されたアメリカ映画『めぐり逢い』は、人生の予期せぬ出来事によって巡り合った男女の切ない愛の軌跡を描いたロマンチックドラマです。主演・製作を務めたのは、ハリウッドを代表する俳優・映画製作者であるウォーレン・ベイティ。彼が脚本にも名を連ね、自身の妻であるアネット・ベニングと共に主演を果たしています。本作は、1939年の『邂逅』、そしてそれを自らリメイクした1957年の『めぐり逢い』という、過去に二度製作された名作のリメイク版にあたります。特に注目されるのは、伝説的な女優キャサリン・ヘプバーンが出演した最後の映画となった点です。

あらすじ

物語は、元フットボール選手で現在はスポーツ解説者として活躍するマイク・ギャンブリルが、シドニーへ向かう飛行機の中で、美しい歌声を持つ歌手テリー・マッケイと出会うところから始まります。旅の途中で、飛行機はエンジントラブルに見舞われ、太平洋上の珊瑚礁の島に不時着。幸運にも通りかかったロシアの客船に救助された二人は、図らずも豪華な船旅を共にすることになります。

マイクはキャスターのリン・ウィーヴァーと、テリーは実業家のケン・アレンと、それぞれ別の相手と婚約中でした。しかし、共に過ごすうちに、ユーモアと知性に溢れるマイクと、現実的でありながらもロマンチックな心を持つテリーは、互いに強く惹かれ合う感情を抑えられなくなります。

船はボラボラ島に寄港。マイクは島に隠遁生活を送る伯母ジニーをテリーに紹介します。人生経験豊かな伯母とテリーの間には、世代を超えた温かい交流が生まれ、特に男女の愛や人生について語り合う時間が持たれます。テリーはそこで、マイクが過去に描いた美しい絵を目にし、彼の秘めたる才能と感性に触れます。ジニーが弾くピアノに合わせ、テリーがハミングする場面は、穏やかで心に残るシーンです。

船旅を終え、ニューヨークに到着する直前の機内で、二人は大胆な約束を交わします。それは、「3ヶ月後の午後、エンパイア・ステート・ビルの展望台で再会する」というもの。もし互いの気持ちが変わらなければ、新たな関係を始めるというものでした。二人はそれぞれの婚約者と距離を置き、真剣に将来を見据え、堅実な仕事に就くなど、この再会に向けて新たな人生を歩み始めます。

しかし、運命は二人に対して試練を与えます。約束の日、テリーはエンパイア・ステート・ビルへ向かう途中で交通事故に遭い、歩けなくなってしまいます。再会を心待ちにしていたマイクは、約束の場所でテリーが現れるのを待ち続けますが、叶いません。時を同じくして、ボラボラ島のマイクの伯母が安らかに息を引き取ります。伯母はテリーに深く心を許しており、大切にしていたショールを形見として彼女に遺していました。

約束の日から7ヶ月半が過ぎたクリスマスの夜。偶然にも、マイクとテリーはそれぞれの元婚約者と共に訪れたコンサート会場で再会を果たします。この予期せぬ再会が、再び二人の間に秘められた感情を揺り動かします。

後日、マイクは電話帳で見つけたテリーの住所を訪ねます。それは、伯母から託されたショールを彼女に渡すためでした。そのまま別れを告げようとしたその時、マイクはテリーのアパートの隣室に、自分がボラボラ島で描いた絵が飾られているのを見つけます。それは、テリーがこの数ヶ月間、変わらず自分を想い続けていた何よりの証であり、二人の愛が確かに存在していたことを証明するものだったのです。

スタッフ・キャスト

本作の監督を務めたのはグレン・ゴードン・キャロン。脚本はロバート・タウンと主演のウォーレン・ベイティが手掛けました。音楽は、『ニュー・シネマ・パラダイス』などで知られる世界的巨匠エンニオ・モリコーネが担当し、作品に深く感動的な色彩を与えています。撮影はコンラッド・L・ホール、美術はフェルナンド・スカルフィオッティ、衣装デザインはミレーナ・カノネロと、アカデミー賞受賞経験を持つ一流のスタッフが集結しました。

主要キャストとして、マイク・ギャンブリルをウォーレン・ベイティが、テリー・マッケイをアネット・ベニングが演じ、息の合った演技を見せています。特に感動を呼ぶのは、マイクの伯母ジニーを演じたキャサリン・ヘプバーンです。この作品が、彼女にとって実に60年以上にわたるキャリアの集大成となる最後の出演作となりました。その他のキャストには、テリーの婚約者ケン・アレン役にピアース・ブロスナン、マイクの婚約者リン・ウィーヴァー役にケイト・キャプショー、そして著名なシンガーソングライターのレイ・チャールズが本人役で出演するなど、多彩な顔ぶれが揃っています。

『めぐり逢い』は、古典的なロマンスのテーマを現代に蘇らせ、運命に翻弄されながらも真実の愛を求める男女の姿を、美しい映像と音楽で描き出した作品です。キャサリン・ヘプバーンの晩年の風格ある演技も、この映画に特別な輝きを与えています。

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