邂逅

『邂逅』（原題：Love Affair）は、1939年に公開されたアメリカ映画で、レオ・マッケリーが監督を務め、アイリーン・ダンとシャルル・ボワイエが主演しました。この作品は、後に監督自身によって『めぐり逢い』として1957年、さらに1994年にもリメイクされ、時代を超えて愛される名作です。

物語の始まり

物語は、プレイボーイとして知られるミシェル・マルネーが、大富豪の令嬢ロイスとの婚約を発表したことから始まります。ヨーロッパからアメリカへ向かう豪華客船ナポリ号での船旅中、ミシェルは一人旅を楽しむ貴婦人テリー・マッケイと出会います。ミシェルは巧みな話術でテリーを魅了し、二人は船旅の間、共に過ごすことになります。

テリーはニューヨークのナイトクラブで歌っていた歌手で、実業家のケンがパトロンでした。旅の中で、二人の心は次第に惹かれ合っていきます。マデイラ島に停泊した際、二人はミシェルの祖母の家を訪ね、教会で祈りを捧げ、お茶を囲み、テリーはミシェルの祖母から彼の幼少期のエピソードを聞き、彼の将来を案じていることを知ります。テリーが祖母の伴奏で『愛の喜びは』を歌った後、二人は初めてのキスを交わします。

ニューヨーク到着を翌日に控えた夜、ミシェルはテリーに半年後、一人前になったらプロポーズしたいと告白します。二人は、半年後の7月1日午後5時に、エンパイアステートビルの展望台で再会することを誓い合います。船が到着すると、二人はそれぞれのパートナーに迎えられますが、複雑な表情を隠せません。

すれ違う運命

ミシェルはロイスと婚約解消し、約束を果たす決意をします。テリーも自立を目指し、フィラデルフィアのホテルで歌手として採用されます。ミシェルは絵の仕事をし始め、作品が売れるようになります。そして、二人は約束の日を迎え、エンパイアステートビルを見つめます。テリーは約束の時間に遅れそうになり、急いでいた最中に交通事故に遭ってしまいます。ミシェルは展望台で彼女を待ちますが、テリーが現れることはありません。

一命を取り留めたテリーは、しばらく療養が必要でした。ミシェルに心配をかけないよう、ケンに連絡しないよう頼みます。一方、失意のミシェルはマデイラ島に向かい、祖母の遺品であるレースがテリーに贈られたことを知ります。

クリスマスイブの日、ミシェルはロイスに誘われて劇場へ行きます。そこにはケンと車椅子に乗ったテリーもいました。テリーはケンからの援助を断り、ミシェルとも別れます。ミシェルはエンパイアステートビルへ向かい、その後、テリーが歌の指導をしている孤児院を訪ねます。

感動の再会

二人は、再会したものの、ミシェルは約束の場所にテリーが来なかったと誤解していました。ミシェルは船の切符を買い、旅立つ予定でした。別れ際、ミシェルは祖母の形見のレースをテリーに渡し、テリーがレースを羽織った姿を描いた絵を、貧しい女性客が買ったことを話します。そこでミシェルは、その絵がテリーの部屋にあることに気づき、彼女が事故に遭ったことを知ります。ようやく二人は真実を理解し、感動的な再会を果たします。

音楽と映画の魅力

この映画では、『愛の喜びは』や『Sing My Heart』などの名曲が使われ、物語を彩っています。映画は、アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、助演女優賞など、多数の賞にノミネートされました。

『邂逅』は、運命に翻弄されながらも、愛を貫こうとする男女の姿を描いた感動的な作品です。その普遍的なテーマは、時代を超えて観る人の心を捉え、多くのリメイク作品を生み出すきっかけとなりました。本作に影響を受けた作品として、『めぐり逢えたら』や、日本のラジオドラマ『君の名は』などがあります。

主な配役

テリー：アイリーン・ダン
ミシェル：シャルル・ボワイエ
ミシェルの祖母：マリア・オースペンスカヤ
ケネス：リー・ボウマン

主な楽曲

愛の喜びは（Plaisir d’amour）
Sing My Heart
* Wishing

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