もう誘拐なんてしない

もう誘拐なんてしない

東川篤哉によるユーモアミステリー小説『もう誘拐なんてしない』は、2008年に刊行され、2012年にはフジテレビ系でテレビドラマ化もされた人気作品です。舞台は山口県下関市と福岡県北九州市門司区にまたがる関門海峡周辺地域。たこ焼き屋台でアルバイトをする大学生と、ヤクザの組長の娘である女子高生が、ある目的のために狂言誘拐を企てるという奇想天外なストーリーが展開されます。

作品の魅力

本作の魅力は、何と言ってもそのユーモラスな作風です。シリアスな状況でも笑いを誘うような会話や展開が満載で、読者は飽きることなく物語に引き込まれます。また、青春ミステリー、旅情ミステリー、本格ミステリーといった様々な要素が盛り込まれており、多様な読者層にアピールする作品となっています。

書評家の大矢博子は、本作を宮藤官九郎や三谷幸喜の映画に例え、「本書の笑いは多岐に渡っており、あらゆる人のツボにヒットするのではあるまいか」と評しています。

ストーリー

夏休み、大学生の樽井翔太郎は、先輩の紹介でたこ焼き屋台のアルバイトをしていました。ある日、彼はテキ屋に追われていた女子高生・花園絵里香を助けます。絵里香は、なんとそのテキ屋「花園組」の組長の娘だったのです。

絵里香の妹が腎臓を患っており、移植手術が必要であることを知った翔太郎は、彼女のために狂言誘拐を思いつきます。彼は先輩の甲本一樹と共に、花園組を相手に狂言誘拐を実行しますが、偽札問題や殺人事件といった予期せぬ事態が次々と発生し、物語は思わぬ方向へと進んでいきます。

登場人物

樽井翔太郎: 下関市に住む大学生。たこ焼き屋台でアルバイトをしています。お人好しでスケベな一面も。
花園絵里香: 花園組組長の娘。気が強く天真爛漫な女子高生です。妹思いの一面も。
甲本一樹: 翔太郎の大学の先輩。狂言誘拐の計画を指揮します。
花園周五郎: 花園組組長。娘の絵里香を溺愛しています。
* 花園皐月: 周五郎の娘で絵里香の姉。男勝りな性格で組員からの信頼も厚いです。

テレビドラマ

2012年には、嵐の大野智主演でテレビドラマ化されました。ドラマでは、翔太郎が売れない役者という設定に変更され、よりコメディ色が強くなっています。新垣結衣、佐藤隆太、貫地谷しほりといった豪華キャストが出演し、原作とは異なる魅力が楽しめます。スペシャルゲストとして嵐のメンバーも出演しています。

まとめ

『もう誘拐なんてしない』は、ユーモアとミステリーが絶妙に融合した、東川篤哉ならではのエンターテイメント作品です。小説とドラマ、それぞれのメディアでその魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。

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