やすらぎの郷

『やすらぎの郷』

概要

『やすらぎの郷』（やすらぎのさと）は、テレビ朝日系の帯ドラマで、2017年4月3日から9月29日まで放送された作品です。本作は、脚本家の倉本聰によるオリジナル脚本で、主演には著名な俳優の石坂浩二が起用されました。世代を超えた豪華なキャストが揃い、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子など、昭和を代表する顔ぶれが共演しています。

舞台となる「やすらぎの郷 La Strada」は、東京近郊に位置する老人ホームで、かつてテレビで華やかだった俳優や脚本家たちが入居しています。この施設では“家族の絆”や“友情”、“愛”と“死”など、普遍的なテーマが扱われ、ユーモラスでありながらもシリアスな描写が特徴です。そして、現代のテレビ文化に対する批判も織り交ぜられています。作品は、視聴率においても成功を収め、初回放送で8.7%、最終回の拡大スペシャルで6.1%と、中高齢の視聴者から支持を受けました。

ドラマは129話までの長編で構成され、主人公の菊村栄は、昔日を共にした女優たちと再会し、渡り合う様子が描かれています。彼らの会話や人生の物語が交錯し、心温まる感動をもたらします。

企画と制作

本作は、テレビ朝日が設けたシルバー向けの帯ドラマ枠、いわゆる『帯ドラマ劇場』の第1作です。倉本聰はこの企画を持ちかけ、「夜の黄金タイムに若者向けのドラマが多く放送され、大人が観られる作品が少ない」との思いから、視聴者に向けた年配層向けのドラマを指向しました。撮影に入る前に、全話分の脚本を完成させたという倉本の意気込みが光ります。

放送中には、芸能やテレビ業界に生きた者たちの華やかな時代からのエピソードや、スタッフの苦労話なども盛り込まれ、視聴者に親近感や懐かしさを与えました。また、著名な俳優陣が共演することで、視聴者の関心を惹く評価も得ました。

あらすじ

物語は、かつて名脚本家として活躍していた菊村栄が主人公で、彼は元女優の妻・律子を認知症の介護をしながら献身的にサポートしていましたが、妻の死によって全てを失ったかのような気持ちになります。そんな中、以前夫婦での入居を勧められていた「やすらぎの郷」から再び誘いを受け、半信半疑ながらも入居を決意します。

入居すると、そこには昔の仲間や憧れの女優たちが揃い、共に過ごす温かいつながりが描かれます。さまざまな世代の入居者たちが集まり、彼らの再会や新たな友情、そしてそれぞれの人生が交錯していきます。特に、入居者たちが抱える秘密や過去、恋愛模様が複雑に展開され、視聴者に深い感動を与えました。栄は、女優たちから脚本依頼を受けたり、噂話を交わしたりと、再び自縁を感じながら執筆活動を絡めて展開されます。

登場人物

主要なキャラクターには、栄をはじめとした高齢者たちの個性的な人生が描かれ、入居者たちとの交流を通じて新たな絆が築かれます。特に、彼らの愛情や友情、そして時には対立の様子が描かれ、視聴者に深い印象と共感を与えます。終わりにかけて物語が進む中で、更なる試練やないない内容に溢れ、ますますドラマとしての深みが増します。

『やすらぎの郷』は、放送期間中に話題を呼び続け、最終的には続編も製作されるほどの人気作品となりました。老いゆく昭和の名優たちの人生を温かく見つめるドラマは、多くの人々の心に残ることでしょう。

もう一度検索