やっさんのはちゃめちゃ捕物帖

『やっさんのはちゃめちゃ捕物帖』：大阪を舞台にした痛快捕物劇コメディー

1983年9月25日から1984年7月1日にかけて、朝日放送（ABCテレビ）で毎週日曜日に放送された『やっさんのはちゃめちゃ捕物帖』は、日曜笑劇場の第2弾として人気を博したバラエティ番組です。大阪・なんば花月劇場からの生放送で、横山やすしさん主演による痛快な捕物劇コメディーとして注目を集めました。

はちゃめちゃな目明かし“やっさん親分”の活躍

番組は、江戸時代の大坂を舞台に、横山やすしさん演じる“やっさん親分”こと安次が、木村進さん、間寛平さん、室谷信雄さんら吉本新喜劇のベテラン座長たちと共に、様々な事件を解決していく物語です。銭形平次をはじめとする古典的な捕物劇をパロディ化し、やすしさん独特のテンポの良いギャグと、予測不能な展開で、視聴者を飽きさせない工夫が凝らされていました。

毎週のエンディングでは、やすしさんの決め台詞「まっかせなさ〜い!!」が、番組の印象的な締めくくりとなりました。オープニングでは、やすしさんがモーターボートで犯人を追いかけるも、逆に追い越されてしまうという、コミカルな演出も話題を呼びました。

個性豊かな脇役と、やすしさんの変化

番組には、やすしさんの長男である木村一八さんも、「瓦版屋の小僧・一八」役で出演。劇中では血縁関係は設定されておらず、「いっぱち」「やっさん」と呼び合う関係性でした。興味深いことに、同時期にテレビ朝日で放送されていた『やすきよ笑って日曜日』では、やすしさんと木村一八さんは親子役として共演していました。

また、西川のりおさんも、劇中における独特な存在感を放っていました。CM直前に登場し、やすしさんらに突っ込まれるという、前作『あっちこっち丁稚』の赤フン男のような役割を担っていました。ただし、のりおさんの扮装は毎回変化に富んでおり、視聴者に新鮮な驚きを与えていました。

さらに、この番組はやすしさんにとって転機となりました。それまで黒縁メガネを愛用していたやすしさんは、この番組を機に金縁メガネへと変更。以後、金縁メガネはやすしさんのトレードマークとなりました。

東京と大阪、二つの顔

やすしさんは、この番組とほぼ同時間帯に、テレビ朝日系列で放送されていた『やすきよ笑って日曜日』にも出演していました。これは、大阪と東京で、同系列・同時間帯に異なる番組に出演していたという、珍しいケースです。他にも、上岡龍太郎さんや明石家さんまさんも同様の事例があります。

その他

番組には、西川きよしさんや横山ノックさんといった著名なゲストも特別出演し、番組をさらに盛り上げました。

福岡では九州朝日放送で放送され、『あっちこっち丁稚』と同様に『パネルクイズ アタック25』放送後に遅れ放送されていました。千葉テレビでも放送されており、毎週木曜日の夜に視聴者を楽しませました。

『やっさんのはちゃめちゃ捕物帖』は、やすしさんの個性が爆発した、痛快で笑いに満ちた捕物劇でした。個性的なキャラクターとテンポの良い展開、そしてやすしさん自身の変化も含め、昭和レトロな雰囲気と笑いを求める人にとって、今でも魅力的な番組と言えるでしょう。

もう一度検索