やまと 691

やまと691 (Yamato 691) の詳細

やまと691は、1969年12月21日に南極大陸のやまと山脈で発見された石質隕石で、その特徴的な成分と発見の経緯から、隕石学界で重要な位置を占めています。此次発見は、南極地域観測隊のメンバー、吉田勝、成瀬廉二、吉川暢一、上田豊、八木実の5名によるものでした。

発見の経緯

1969年、南極での科学的進展を促進するために派遣された第10次南極地域観測隊が、やまと山脈で活動中に9個の隕石を発見しました。この中で最大のものであるやまと691は、当初、隕石雨によって集まったと考えられていました。しかし、実際には成分の異なる隕石が混ざっていることが判明し、これは南極の特定の地域で隕石が集まる特異なメカニズムが存在することを示しています。

やまと691の発見は、南極における隕石研究に新たな光をもたらし、その後の隕石の大量発見に寄与しました。特に吉田勝の偶然の出来事により、牛来正夫から「隕石をおみやげに」と言われていたことがきっかけとなり、興味を持った観測隊員たちの期待を上回る成果となりました。

やまと691の特性

この隕石はエンスタタイト・コンドライト(EH3)に分類され、重さは715gという大きさを誇ります。やまと691は、火星と木星の間を周回していた小惑星に起源を持つと考えられており、その構成成分は約45億年前に誕生したものとされます。このため、やまと691は古代の太陽系の成り立ちを探る上で貴重なサンプルとみなされています。

新種の鉱物「Wassonite」の発見

2011年4月には、NASAと共同研究を行う日本及び韓国の研究者たちが、やまと691から新種の鉱物「Wassonite」を発見したことを発表しました。この鉱物は硫黄とチタンから構成されており、やまと691が持つ科学的な価値をさらに高めるものとなりました。この発見は、隕石が持つ未知の物質を探求する上で新たな道を切り開く可能性があります。

参考文献と関連情報

やまと691に関するより詳細な情報は、『南極観測隊』という書籍に掘り下げられています。この書籍は、南極で過ごした若者たちの情熱や活動を記録したものであり、隕石発見の背景についても触れています。

また、やまと691についての情報は、Meteoritical Bulletin Databaseに記載されており、隕石学の研究者たちにとって重要なデータベースとなっています。研究者や愛好家にとって、この隕石は研究・検討の素材として今後も注目され続けることでしょう。

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