やれんのか! 大晦日! 2007

やれんのか! 大晦日! 2007：PRIDEの魂を受け継いだ一夜限りの闘い

2007年大晦日、さいたまスーパーアリーナ。日本の格闘技界に衝撃が走った一夜――『やれんのか! 大晦日! 2007』は、総合格闘技イベントPRIDEの消滅という歴史的転換点を背景に開催された、異例ずくめの大会でした。

PRIDE消滅と新たな出発

2007年、日本の総合格闘技界の雄、PRIDEはアメリカのUFCに買収され、活動を停止。行き場を失った多くの選手とスタッフは、新たな活路を求めていました。この大会は、FEG、DEEP、そしてアメリカで新たに旗揚げしたM-1 GLOBALといった複数の団体が協力し、PRIDEのスタッフと選手を中心に開催されたのです。

夢のカードとレジェンドの集結

PRIDEの看板選手である青木真也、川尻達也、桜井“マッハ”速人、石田光洋といった面々に加え、ヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードルも参戦。さらに、旧PRIDE選手とK-1からの選手、そして戦極で活躍する選手たちの対戦など、かつてない豪華なカードが実現しました。それぞれの選手が、PRIDEの復活への期待を背負い、リングに上がりました。

PRIDEの再来：演出と雰囲気

会場の雰囲気はまさにPRIDEの再来。高田延彦氏による大太鼓の演奏で幕を開け、レニー・ハート氏による選手コール、ケイ・グラント氏と太田真一郎氏によるリングアナウンス、立木文彦氏によるナレーションといったおなじみのスタッフが、かつてのPRIDEの雰囲気を再現。ラウンドガールもPRIDEガールが務め、来場者たちは、再びPRIDEの世界に浸ることができました。レフェリーやジャッジ、リングドクターもPRIDE時代の面々が中心となり、ファンにとっては何よりも嬉しい光景でした。

試合結果とルール

試合は、第1試合を除き、1R10分、2R5分の変則2ラウンド制で行われました。このルールは、後にDREAMでも採用されることになります。グラウンドでの頭部への攻撃に関するルールは、PRIDEを踏襲しつつも、一部変更が加えられました。判定は全試合マストシステムで、ドローはありませんでした。

主な試合結果は以下の通りです。

第1試合：マイク・ルソー ○ vs. ローマン・ゼンツォフ × (1R 2:58 前方裸絞め)
第2試合：川尻達也 ○ vs. ルイス・アゼレード × (判定3-0)
第3試合：瀧本誠 ○ vs. ムリーロ・ブスタマンチ × (判定2-1)
第4試合：石田光洋 ○ vs. ギルバート・メレンデス × (判定3-0)
第5試合（Dynamite!!協力試合）：三崎和雄 － vs. 秋山成勲 － (ノーコンテスト)
第6試合（Dynamite!!協力試合）：エメリヤーエンコ・ヒョードル ○ vs. チェ・ホンマン × (1R 1:54 腕ひしぎ十字固め)
第7試合：桜井“マッハ”速人 ○ vs. 長谷川秀彦 × (判定3-0)
第8試合：青木真也 ○ vs. チョン・ブギョン × (判定3-0)

秋山対三崎の試合は、秋山のダウン後に三崎が放った蹴りが反則とみなされ、試合後にノーコンテストとなりました。

権利問題と演出

PRIDEの権利はズッファ社が所有していたため、PRIDEの映像やテーマ曲は使用できませんでした。代わりに、フジテレビでPRIDEが放送されていた時のオープニングテーマ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「GUERILLA RADIO」が使用されました。ロゴについても、当初PRIDEのものを使用していましたが、変更されました。

放送と配信

大会は、スカイパーフェクTV!とe2 by スカパー!でPPV放送され、一部試合はTBSの『K-1 PREMIUM 2007 Dynamite!!』でも地上波放送されました。さらに、パブリックビューイングや動画配信サイトでの配信も行われました。

夢の続きへ

『やれんのか! 大晦日! 2007』は、一夜限りのイベントでしたが、終了後には「桜咲くころ、夢の続きを」というメッセージが提示されました。そして、この大会を機に、FEGとの協力体制のもと、新総合格闘技イベントDREAMが誕生。やれんのか！は、DREAMへと繋がる重要な一歩となりました。

この大会は、単なる格闘技イベントにとどまらず、日本の格闘技史における大きな転換点として、多くのファンに記憶されています。

もう一度検索