ゆく年くる年 (民間放送テレビ)

『ゆく年くる年』の歴史と影響

『ゆく年くる年』は、1956年から1989年まで日本の民放各テレビ局で放送されていた年越し番組です。この番組は毎年12月31日から1月1日に生放送され、セイコーが唯一のスポンサーとして支援していました。放送開始当初から大きな人気を博し、視聴者にとって新年を迎える恒例のイベントとなりました。

番組の概要と放送体制

当時の在京キー局は年越し向けの番組を順番に制作し、全国の民放テレビ局で同時に放送されました。この体制は、放送全局が一体となって年越しを祝うもので、視聴率の向上に寄与しました。番組終了時、民放でフルネットされた特番はこの『ゆく年くる年』と「放送広告の日」の特別番組、さらには「民放連会長あいさつ」のみでした。

1952年には年越しラジオ番組としてスタートし、翌年には『ゆく年くる年』と改題されました。1954年には東京と大阪の二元体制に広がり、全国各地の中継を取り入れる形で、1971年には83局が参加する体制が確立しました。最盛期には参加局が103局に達しました。

最初の放送は日本テレビとラジオ東京の共同制作によるものでしたが、フジテレビは1959年の開局からしばらく参加しなかったため、各局の独自番組が存在しました。その後、1971年からはフジテレビも参加し、全国の民放が一つの番組を制作するスタイルが確立されました。東京12チャンネル（現在のテレビ東京）も1974年に制作に参加し、全局参加が実現しました。

番組内容と演出技術

『ゆく年くる年』では、毎年さまざまなテーマに基づいた内容が展開されました。全国各地からの中継に加え、ドラマやバラエティ、ドキュメンタリーなど多彩な企画が盛り込まれました。技術的にも衛星中継やデジタル合成を取り入れ、大掛かりな演出が特徴でした。制作費も年々高騰し、最終的には1億円に達することもありました。

番組の総合司会は多くの場合著名な俳優が務め、新年を迎える瞬間には全国で「蛍の光」が大合唱されるという慣習がありました。1980年/1981年には特異な試みとしてCMを挟む放送もあるなど、多様な演出がありました。また、各年度によって新年の迎え方も異なり、合唱した後の演出やセイコーのその年のCMも見どころでした。

番組の終了とその後

1988年末に、テレビ東京が次回の制作を辞退したことをきっかけに、『ゆく年くる年』は終了が決まりました。理由の一つには、制作費の高騰や視聴率の競争の激化が挙げられます。この番組の終了により、各民放で独自の年越し番組を制作する流れが生まれました。終了後の年末特番にもセイコーがスポンサーとして関わることはありましたが、それ以降は新たなスタイルが模索され、今に至ります。

現存する映像とその価値

『ゆく年くる年』は生放送を基本としていたため、多くの映像が保存されていないことが特徴です。しかし一部の映像は、1975/1976年の放送のように特集などで紹介されることもあり、貴重な文化財としての価値を持っています。これをきっかけに、当番組の影響を受けた多くの年越し番組が現れたことも重要な点です。

『ゆく年くる年』は、日本の年越し文化の一部として位置づけられ、今でもその影響を感じさせる番組でした。

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