ゆりかごから墓場まで (リスト)

『ゆりかごから墓場まで』（Von der Wiege bis zum Grabe）S.107/R.424は、フランツ・リストが作曲した13番目にして最後の交響詩です。リストが晩年に手がけたこの作品は、これまでの交響詩とは著しく異なる作風を示しています。

概要

この作品は、リストが12番目の交響詩『理想』を完成させてから20年以上もの歳月を経た後に作曲されました。タイトルは、ジッチ・ミハーイの絵画から着想を得ています。以前の交響詩と比較すると、音楽的なスタイルや構成において大きな変化が見られます。リストの晩年の作風を色濃く反映した作品と言えるでしょう。

作曲年代と作曲地

『ゆりかごから墓場まで』は1882年に、ドイツのヴァイマルで作曲されました。この時期のリストは、作曲家としての円熟期を迎えており、その音楽的才能が遺憾なく発揮されています。

楽器編成

この作品は、以下の楽器編成で演奏されます。
ピッコロ
フルート
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
ホルン4
トランペット2
トロンボーン3
チューバ
ティンパニ
シンバル（大太鼓無し）
ハープ（アド・リヴ）
弦五部

ハープは任意で加えることができ、オーケストラの色彩を豊かにしています。大太鼓を使用しない点は、この作品の特徴の一つです。

演奏時間

演奏時間は約17分と比較的短いながらも、人生の様々な局面を表現した濃密な内容となっています。

楽曲の内容

『ゆりかごから墓場まで』は、以下の3つの部分から構成されています。

1. 「ゆりかご」：人生の始まりを象徴する部分。静かで穏やかな雰囲気で始まり、生まれてくる生命の喜びと希望が表現されています。繊細で美しい旋律が、聴く者を優しく包み込みます。
2. 「生の闘争」：人生における苦難や挑戦を表現した部分。音楽は激しさを増し、ダイナミックな展開を見せます。人生の葛藤や試練が、力強いリズムと情熱的な旋律で描かれています。
3. 「墓場へ」：人生の終焉を象徴する部分。静かで落ち着いた雰囲気で終わりを迎え、死の静寂と安らぎを表現しています。深い感情を呼び起こす荘厳な響きで、聴く者に深い感動を与えます。

これらの3つの部分を通して、人間の生涯を音楽的に表現した作品と言えるでしょう。

参考文献

クラシック音楽大辞典
オイゲンブルク社のスコア

外部リンク

ゆりかごから墓場までの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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