ゆり型警備艇

ゆり型警備艇（Yuri-class LSSL）

概要

ゆり型警備艇は、海上自衛隊の草創期に登場した艦艇で、もともとはアメリカ海軍の第二次世界大戦中に建造された上陸支援艇（LSSL）に由来しています。これらの艇は主に兵員の揚陸および火砲による支援を目的としていましたが、浅吃水で平底の設計のため、航洋性には欠け、警備艇としての機能には限界がありました。

当該艇は合理的な設計が追求され、主機は8基のディーゼルエンジンを搭載し、4基で1軸を回すマルチプル・タイプが採用されています。また、主発電機の原動機も同様のディーゼルエンジンを利用していました。これにより、安定した運航が可能となっていましたが、海中での機動性には課題が多く残されていました。

歴史

1952年11月、日米船舶貸借協定が調印され、これを契機に1953年1月から50隻のゆり型警備艇が日本に貸与されました。貸与された艇は「警備船」と呼ばれ、船名は草花に因んだものが名付けられていました。海上自衛隊が発足すると、警備船の呼称は警備艇へと変更され、数隻のLSSLにより警戒隊が編成され、沿岸警備や哨戒が行われました。

加えて、1956年には3隻の艇が新たに供与されました。これらは元々フランスに貸与されていた艇が返還され、日本に戻ってきたものです。1958年以降、これらの艇は順次返還が始まり、約半数が早期に返還されました。

特筆すべきは、1959年7月31日に日米間の協定が改定され、23隻の艇が貸与から供与に切り替えられたことです。この切り替えにより、供与された艇は支援船に区分され、小型揚陸艇の母船や練習船、魚雷収集艇、水中処分隊の母艇として利用されるようになりました。その中でも「はまぎく」（YAS-35）は、艦隊の対空射撃訓練に利用される訓練用標的機（ドローン）を運用する母艇として改造され、最期まで在籍しました。最終的には1976年3月に除籍されました。

同型艇

ゆり型警備艇は、日本の防衛における歴史的な役割を果たしてきましたが、時の流れと共にその役目は縮小し、1970年代には全艇が退役となりました。その後の海上自衛隊は新しい技術を取り入れ、より進化した艦艇へと移行していきました。

参考文献

• - 『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』（海人社、2004年）
• - 『丸スペシャル No73 護衛艦くす型 / 警備艇ゆり型』

このように、ゆり型警備艇は海上自衛隊の歴史において特異な存在として、新たな艦艇の登場へとつながる重要な役割を果たしました。

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