らせん (鈴木光司の小説)

小説『らせん』の概要

鈴木光司によるサスペンス・ホラー小説『らせん』は、オカルト的要素と科学的な解明が融合した作品で、1995年に出版されました。これは、小説『リング』の続編であり、前作の「死ぬ呪いのビデオ」が、今回では分子生物学を通じて解明されていく過程が描かれています。映画やテレビドラマにもなり、多くの読者や視聴者を惹きつけたこの作品は、リングシリーズの三部作のひとつとして位置づけられています。

あらすじ

物語は東京都の監察医、安藤満男が主人公です。彼は過去に海難事故で子を失い、それ以来、自責の念に苛まれていました。ある日、彼は友人、高山竜司の死体の解剖を任され、その際に見つけた新聞紙に書かれた暗号に注目します。高山は解剖の直前、記者の浅川和行と「呪いのビデオ」の調査を行っていたことが判明しますが、浅川もまた呪いにまつわる悲劇的な運命を辿ることになります。

解剖を進める中で、安藤は高山の死因が特殊なウイルスによるものであることを突き止め、そのウイルスが「呪い」と関わっていることを知ります。このウイルスは、ビデオを視聴した者の網膜から体内に侵入し、心臓に肉腫を発生させるもので、驚くべき感染メカニズムを持っています。話はさらに進み、高野舞という女性が高山の死と関連して失踪し、後に変死体として発見されます。彼女は高山の元恋人で、呪いのビデオを見てしまったことで恐ろしい運命に巻き込まれます。

物語が進むにつれ、安藤は舞の姉と名乗る人物に出会い、彼女が異なる存在であることを知ります。この複雑な人間関係が物語をさらに緊迫させます。舞の体を通じて復活した山村貞子は、安藤に取引を持ちかけ、さらに本当の黒幕が姿を現すことになります。彼女は恐るべき力を持っており、その背景には人類抹殺を目論む陰謀が隠されています。

登場人物

• - 安藤満男: 本作の主人公で、東京都監察医務院の医師。過去のトラウマに苦しむ。
• - 高野舞: 高山の元恋人。呪いのビデオを見たことで不幸な運命に巻き込まれる。
• - 山村貞子: シリーズの中心にいる呪いの存在。舞を通じて復活する。
• - 宮下: 安藤の同僚であり友人。事件解明に密接に関わる。
• - 高山竜司: 物語の鍵を握る人物。彼の死がすべての始まり。

作品の特徴

『らせん』は、遺伝子学や分子生物学を取り入れたストーリー展開が特徴であり、悪に対する科学的アプローチが新鮮さを感じさせます。また、登場人物たちの人間模様も描かれており、彼らの過去や葛藤が物語に深みを与えています。前作のオカルトホラー的な要素が後退し、サイエンスフィクションとサスペンスの交わりが強調されています。物語が進むにつれて、その緊迫感と緻密な設定が読者を惹きつけ、衝撃の結末へと導かれます。

書誌情報

本作品は、初版が1995年に発表され、その後、角川ホラー文庫からも出版されています。また、映画化やテレビドラマ化がなされ、幅広いメディア展開が行われています。特に映画版の『らせん』は、1998年に公開され、多大な反響を呼びました。その影響は、今もなお多くのファンに支持されています。

総括

『らせん』は、サスペンス・ホラーの金字塔とも言える作品であり、科学とオカルトが交差する独自の世界観を提供しています。鈴木光司の巧みな筆致により描かれる恐怖の物語は、読者に強い印象を残すことでしょう。

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