りゅう座デルタ星

りゅう座δ星（アルタイス）

りゅう座δ星は、夜空でりゅう座の領域に見られる恒星で、3等星に分類されます。その明るさから、比較的見つけやすい星の一つと言えるでしょう。

恒星の性質と進化

この星は、スペクトル型がG型に属する巨星です。恒星が一生の中で進化する段階の一つであり、中心部での水素による核融合を終え、星が大きく膨張した状態にあります。現在のりゅう座δ星の中心核では、既にヘリウムによる核融合が進んでおり、炭素や酸素といったより重い元素が生成されています。恒星の進化理論に基づくと、この星は将来的に外層を放出し、コンパクトな白色矮星になると予測されています。

見かけ上の二重星

りゅう座δ星は、地球から見て約82秒角離れた位置に別の恒星が存在しており、見かけ上の二重星として観測されます。しかし、これらの二つの恒星が実際に物理的な重力によって結びついた連星系であるかどうかは、現在のところ確認されていません。もし仮にこれらが連星系を成しているとすれば、互いの間の距離は少なくとも2,500天文単位（au）以上と考えられ、その場合、互いの周りを一周するのに要する公転周期は、75,000年以上という非常に長い時間になると見積もられています。

名称「アルタイス」とその由来

りゅう座δ星には、「アルタイス（Altais）」という固有名が付けられています。この名称の由来については、いくつかの説が流布しています。一説には、アラビア語で「牡山羊」を意味する「al-tais」に由来し、かつてその名前を持つ星座が存在したためという話が広く知られていますが、これは誤りです。実際にはそのような名前の星座は確認されていません。

正しい由来は、りゅう座の他の明るい星々、例えばα星（トゥバン）やη星（エタ・ドラコニス）などと同様に、アラビア語で「蛇」を意味する「アル・ティンニーン（al-tinnīn）」という言葉に関連付けられていると考えられています。りゅう座が天上の巨大な蛇や竜として描かれることに由来する名称と言えるでしょう。

この「アルタイス」という名称は、2016年8月21日に国際天文学連合（IAU）の恒星の命名に関するワーキンググループ（Working Group on Star Names, WGSN）によって、りゅう座δ星の正式な固有名として正式に承認されました。これにより、この星の固有名が国際的に確定しています。

りゅう座δ星、アルタイスは、その進化段階や見かけ上の二重星としての特徴、そして名称の興味深い由来を持つ、りゅう座の中でも注目の恒星の一つです。

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