りんご並木 (飯田市)

飯田市を彩るりんご並木

長野県飯田市の市街地にあるりんご並木は、約450メートルにわたってリンゴの木が植えられた美しい並木道です。この並木道は、単なる景観としての美しさだけでなく、地域の人々の歴史と記憶を刻む、特別な存在となっています。

大火からの復興のシンボル

りんご並木の歴史は、1947年（昭和22年）に発生した飯田大火に深く根ざしています。この大火で市街地の大部分が焼失した中、復興のシンボルとして、当時の飯田東中学校の生徒たちがリンゴの木を植えたのが始まりです。生徒たちは、植樹だけでなく、その後の育成にも携わり、施肥、剪定、草取り、収穫といった作業を代々受け継いできました。収穫されたリンゴは、学校給食に使われたり、市内の小中学校や福祉施設に贈られたり、時には東日本大震災の被災地へ届けられたりと、地域への貢献にも繋がっています。

地域住民と共にある並木道

並木道は、単にリンゴの木が植えられているだけでなく、地域の人々の生活と密接に結びついています。1999年（平成11年）には並木全体が公園として整備され、歩行者優先の空間として、散歩やジョギング、子供たちの遊び場として利用されています。また、並木道は防火帯としての役割も担っており、地域の安全にも貢献しています。地元住民による清掃活動などが行われており、地域全体でこの並木道を大切に守り育てています。その結果、美しい信州の景観づくり功労賞を受賞するなど、その価値は高く評価されています。

受け継がれる想い

最初に植えられたリンゴの木は、接ぎ木などの手法によって大切に守り継がれています。また、1999年（平成11年）には、りんご並木の再整備計画に基づき、歩道と車道の区分けを無くした公園のような道路に生まれ変わり、より多くの人が利用しやすい空間となりました。並木道の北側には、桜並木も整備されており、春には桜が咲き誇ります。りんご並木は、飯田大火からの復興の象徴としてだけでなく、地域の人々の想いと歴史を受け継ぐ、大切な場所として、これからも未来へと繋がっていくでしょう。

様々な影響

飯田市のりんご並木は、他の地域にも影響を与えています。北海道札幌市にあるリンゴ並木は、飯田市のりんご並木を参考にして作られました。また、飯田市で開催される「いいだ人形劇フェスタ」や「飯田りんごん」などのイベントの会場としても利用されています。りんご並木は、飯田市のシンボルとして、街の活性化にも貢献しています。飯田駅のデザインにもりんごが使用されるなど、街全体でりんご並木を大切にしていることがわかります。

詳細情報

路線名：飯田市道1-1号線（りんご並木大宮線）
区間：飯田市諏訪町 - 同市扇町（約1.2 km）
周辺：飯田市立動物園、川本喜八郎人形美術館

年表

1947年（昭和22年）：飯田大火発生
1953年（昭和28年）：リンゴの植樹開始
1986年（昭和61年）：「日本の道100選」に選定
2002年（平成14年）：「かおり百選」に選定
2016年（平成28年）：天皇・皇后が訪問

りんご並木は、飯田市の歴史と文化、人々の想いが詰まった場所です。訪れる人々を魅了し、地域に活力と彩りを与える、かけがえのない存在と言えるでしょう。

もう一度検索