日本の道100選

日本の道100選：日本の魅力を繋ぐ104本の道

日本の道100選は、1986年度と1987年度に、建設省（現・国土交通省）と「道の日」実行委員会によって選定された、日本の優れた道路104路線です。単なる道路ではなく、地域住民に親しまれ、景観にも優れた、いわば日本のシンボルロードと言える存在です。

選定基準と過程

選定にあたっては、歴史的価値や文化的価値だけでなく、地域の人々にどれだけ愛されているかという点が最も重視されました。景観の美しさや周辺環境との調和も重要な選定基準となり、選定された道路の多くは、その地域を象徴する存在となっています。

1986年度には歴史性と親愛性を基準に53路線、1987年度には美観性と機動性を基準に51路線が選定されました。各都道府県から推薦された道路の中から、「道の日」実行委員会と有識者からなる選定委員会によって厳正に選ばれました。選定委員会には、俳優、旅行作家、評論家、そして建設省関係者など、多様な分野の専門家が参加していました。

選定された道路には、建設大臣から顕彰状が授与され、亀倉雄策氏デザインの顕彰プレートが設置されました。これは、選定された道路が単なる交通路ではなく、地域社会にとって重要な存在であることを象徴するものです。

104路線の多様な魅力

日本の道100選に選ばれた道路は、全国各地に点在し、それぞれが個性豊かな魅力を持っています。北海道の雄大な自然を反映した道路から、都市部の洗練された街路、歴史的な街道、そして美しい景観を誇る山岳道路まで、そのバリエーションは多様です。

例えば、北海道の札幌大通公園は都市空間と自然が融合した道路公園として、また、青森県の「こみせ」は歴史的な町並みを活かした独特の景観を誇ります。一方、日光街道や旧中山道といった歴史的な街道は、日本の歴史を今に伝える貴重な存在です。さらに、富士スバルラインや磐梯吾妻スカイラインといった山岳道路は、雄大な自然を満喫できるドライブコースとして人気です。

これらの道路は、単に移動手段としての機能だけでなく、地域の歴史や文化、自然環境を象徴する存在であり、地域住民の生活や交流に深く関わっています。また、観光客にとっても、日本の魅力を体感できる重要な観光資源となっています。

選定道路一覧（一部抜粋）

以下に、日本の道100選の一部を紹介します。それぞれの道路には、選定理由や特徴が記されています。

札幌大通（北海道札幌市）： 札幌の代表的な道路公園
日光街道（栃木県日光市）： 歴史的な街道、日光杉並木
中央通り（東京都中央区）： 明治近代化のシンボル、銀座の道
若宮大路（神奈川県鎌倉市）： 鎌倉幕府の遺跡
旧東海道（三重県亀山市）： 東海道の宿場町、関宿
哲学の道（京都府京都市）： 静かで風情のある遊歩道
御堂筋（大阪府大阪市）： 大阪を代表する大通り
平和大通り（広島県広島市）： 平和への祈りを込めた通り
日南フェニックスロード（宮崎県宮崎市）： 美しい海岸線を走る道路

（上記はほんの一例です。全104路線については、参考文献をご参照ください。）

日本の道100選の意義

日本の道100選は、日本の道路の歴史や文化、そして地域住民との関わりを再認識させる上で重要な役割を果たしています。選定された道路は、地域活性化や観光振興にも貢献しており、今後も日本の重要な文化遺産として、大切に保存・活用されていくことが期待されます。

参考文献

「日本の道100選」研究会 著、国土交通省道路局 監修 編『日本の道100選〈新版〉』ぎょうせい、2002年6月20日。ISBN 4-324-06810-0

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