れこっず

レコード：ドラッグストアとコンビニの融合、そしてその終焉

イオングループ傘下のミニストップ株式会社は、かつて「れこっず（RECODS）」というユニークな業態を展開していました。れこっずは、ドラッグストアチェーン「ハピコム」に加盟していたCFSコーポレーションとタキヤ（現在は共にウエルシア薬局に統合）、そしてミニストップによる合弁会社、株式会社れこっずによって運営されていました。

れこっずのコンセプトは「地域密着ヘルスケアステーション＆生活支援ステーション」。ドラッグストアの専門性とコンビニの利便性を融合させた新業態で、地域住民の健康と生活をサポートすることを目指していました。店内では、医薬品や日用品の販売に加え、一部ファーストフードも取り扱っていました。決済方法もミニストップと同様、WAONや楽天Edyなどの電子マネーにも対応していました。

地域ごとの展開は、関東地区ではCFSコーポレーション（2014年8月末撤退）、関西地区ではタキヤがドラッグストア部門を担当。タキヤは以前よりミニストップと共同で「タキヤ・ミニストップサテライト」を展開しており、れこっずへの移行も一部店舗で行われています。例えば、奈良駅前店は「タキヤ・ミニストップサテライト」から「れこっず」へと変更されました。

2010年7月、3社による合弁会社設立の基本合意が発表され、同年8月、株式会社れこっずが設立されました。10月には、神奈川県横浜市に1号店となる磯子広町店、兵庫県神戸市に関西地区1号店となる伊川谷店がオープン。その後、東京都、大阪府、京都府にも出店を拡大しました。しかし、2014年6月にはCFSコーポレーションが保有する全株式を売却。そして同年9月1日、ミニストップ株式会社による吸収合併により、株式会社れこっずは消滅しました。

合併後、多くのれこっず店舗は閉店。残りの店舗は、ウエルシア薬局が運営する「ハックドラッグ」や「ウエルシア」、またはミニストップへと業態転換されました。関西地区のれこっず店舗は、ほぼすべてが閉店もしくはドラッグストアへと転換され、事実上撤退しました。関東地区では、2019年9月時点で、神奈川県と東京都に数店舗がミニストップへと転換されたものの、現在、れこっずとして営業している店舗は存在しません。

れこっずは、新しいビジネスモデルに挑戦したものの、短命に終わった事例と言えるでしょう。ドラッグストアとコンビニの融合というアイデアは、当時としては革新的でしたが、市場のニーズや競争環境の変化に対応しきれなかったのかもしれません。れこっずの失敗から学ぶべき点も多く、今後のビジネスモデル開発において参考になるケーススタディと言えるでしょう。

沿革

2010年7月12日：3社による合弁会社設立の基本合意発表。
2010年8月20日：株式会社れこっず設立。
2010年10月13日：磯子広町店オープン（1号店）。
2010年10月30日：伊川谷店オープン（関西地区1号店）。
2011年3月3日：摂津市駅前店オープン（大阪府進出）。
2011年4月27日：小平上水店オープン（東京都進出）。
2011年7月29日：木津店オープン（京都府進出）。
2014年6月：CFSコーポレーションが保有全株式を売却。
2014年9月1日：ミニストップ株式会社に吸収合併され消滅。

店舗

関東地区では「ハックドラッグ+ミニストップ」、関西地区では「TAKIYA+ミニストップ」の形態で展開していましたが、現在は全て閉店または業態転換されています。

関連企業

ミニストップ
CFSコーポレーション
タキヤ
* ウエルシア薬局 (ハピコム加盟)

れこっずは、その短い歴史の中で、ドラッグストアとコンビニの融合という新たな可能性に挑戦した企業でした。その挑戦は成功には至らなかったものの、後世のビジネスモデル開発に貴重な教訓を残したと言えるでしょう。

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