わがいほは

わがいほは

『わがいほは』は、漫画家うつぎによって描かれた日本のファンタジー漫画作品です。主にウェブコミックとして展開され、コミックスマートが運営する配信プラットフォーム『GANMA!』にて、2017年9月11日から2020年2月24日まで、隔週月曜日にわたって連載されました。

作品概要

本作は、予期せぬ事故により肉体を離れた魂を持つ男子高校生と、閉鎖的な環境で育った不愛想な女子高生巫女が、奇妙な共同生活を送る様子を描いた日常系コメディです。物語の区切りは「〇段目」と独特の数え方が用いられています。

物語のあらすじ

物語は、高校生の佐藤旭が遭遇した交通事故から始まります。重体となり意識を失った彼の魂は、肉体を離れて地上をさまようことになります。魂の状態で漂う彼は、やがて小さな神社にたどり着き、その神社の巫女である碓氷伊織と出会います。浮遊霊のままでは危険な存在（魑魅魍魎）に狙われることを知った旭は、神社の祭神である珠姫様の計らいにより、たまたまその場にあったチベットスナギツネのぬいぐるみに乗り移ることになります。珠姫様からは、自身の体へ無事に戻るための条件として、伊織にとって心の支えとなる存在になることを提示され、旭はぬいぐるみとして伊織と共に生活を始めることになります。この特殊な共同生活の中で、彼らは様々な出来事を経験し、関係を深めていきます。後に、伊織のクラスメイトにも旭の存在が知られることとなります。

主な登場人物

佐藤 旭（さとう あさひ）
本作の主人公。高校2年生の時に交通事故に遭い、生霊となってチベットスナギツネのぬいぐるみに魂が宿った姿で登場することがほとんどです。家族は母親と姉がいます。家事全般が得意という意外な一面を持ちます。憑依したぬいぐるみとしてのユニークな存在感が評価され、GANMA！総選挙で2年連続「人外賞」を受賞しました。

碓氷 伊織（うすい いおり）
本作のヒロイン。女子高校に通う一方で、祖母から神社の巫女の役目を受け継ぎ、町にいる死霊を常世へ送る仕事をしています。当初は碓氷神社で一人静かに暮らしていました。学業、武道ともに優秀ですが、感情表現が苦手で他人との関わりを避ける傾向にありましたが、旭や後に同居することになる荒谷との交流を通じて変化していきます。辛いものが大好きで、コブダイもお気に入りのようです。

珠姫様（たまひめさま）
碓氷神社に祀られている女神。旭をぬいぐるみに憑依させ、伊織との共同生活を始めるきっかけを作った存在です。おおらかで酒好きな性格をしています。

荒谷 茜（あらや あかね）
故人である高校3年生の少女の死霊。悪霊から逃れるためにタスマニアデビルのぬいぐるみに憑依して旭たちと出会いました。幼馴染への強い未練から常世へ行けず、最終的にアンゴラウサギのぬいぐるみに乗り移り、旭や伊織と共に暮らすことになります。

花里 香澄（はなざと かすみ）
伊織のクラスメイトで、旭と荒谷の事情を知ることになる人物の一人です。

三浦 琴音（みうら ことね）、柏木 光（かしわぎ ひかり）、峰さん（みねさん）
伊織や花里のクラスメイトたち。それぞれ異なる個性を持ち、物語に関わってきます。特に柏木光は、ぬいぐるみになった旭たちを高性能なAIだと思い込んでいます。

碓氷 月江（うすい つきえ）
伊織の祖母であり、先代の巫女です。

春田さん（はるたさん）
月江の身の回りのお世話をしている人物です。

単行本

連載終了後、作品の全話を書籍化するプロジェクトがクラウドファンディング形式で行われました。2020年2月23日から4月26日の期間に実施され、支援者限定で全3巻の単行本が刊行されています。

作品の特徴

『わがいほは』は、「幽体離脱」「ぬいぐるみ憑依」「巫女」「死霊」といったファンタジー要素を織り交ぜつつ、主要キャラクターたちの日常や心理描写を丁寧に描くことで、心温まるコメディとして成立しています。不器用ながらも少しずつ心を開いていく伊織と、ぬいぐるみの姿ながらも家事をこなし、彼女を支えようとする旭、そしてユニークな背景を持つ他の同居人たちのやり取りが見どころです。特殊な状況下での共同生活を通じて生まれる絆や、それぞれの抱える悩みや過去に向き合う姿が、読者に共感や笑いを提供します。ファンタジー設定を日常に落とし込むことで生まれる独特のユーモアと、キャラクターたちの成長が魅力の作品です。

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