わが恋せし乙女

『わが恋せし乙女』は、1946年に公開された松竹製作の映画です。1924年のアメリカ映画『我が恋せし乙女』を翻案し、木下惠介が監督・脚本を務めました。北軽井沢の美しい農場を舞台に、運命に翻弄される兄妹の恋愛模様を描いた、メルヘンチックな作品として知られています。

あらすじ

物語は、ある田舎の家で、女の赤ん坊が拾われるところから始まります。赤ん坊は、年上の男の子とともに、実の兄妹のように愛情深く育てられ、やがて美しい娘へと成長します。戦争から帰還した兄・甚吾は、妹として接してきた娘・美子に対し、抑えきれない恋心を抱くようになります。彼は美子との結婚を望み、母親に相談すると、母親も二人の結婚に賛成してくれます。甚吾は、祭りの日に美子に話があると告げます。

しかし、祭りの日、甚吾は美子が恋人らしき男性と楽しそうに語らっている場面を目撃してしまいます。美子は甚吾に対し、結婚を考えている男性がいることを打ち明けます。深く苦悩した甚吾は、美子への想いを諦める決意をします。しかし、この話を聞いた母親は、衝撃のあまり泣き崩れてしまいます。「兄さんの話は何なの？」と尋ねる美子に対し、甚吾は、自分と同じ部隊にいた男が美子の写真を見て気に入ったため、結婚させようと思っていた、と嘘をつくのでした。

作品の特徴

ヨーロッパ調の演出: メルヘンチックで美しい映像、音楽が、物語をロマンチックに彩っています。
井川邦子の歌: 井川邦子が劇中で主題歌を歌い、作品の雰囲気を盛り上げています。

キャスト

兄・甚吾：原保美（少年時代：大塚正義）
妹・美子：井川邦子（少女時代：河野正昭）
母・おきん：東山千栄子

スタッフ

監督：木下惠介
企画：細谷辰雄
脚本：木下惠介
撮影：楠田浩之
音楽：木下忠司

『わが恋せし乙女』は、禁じられた愛、戦争、家族の絆など、様々なテーマが織り込まれた、見応えのある作品です。木下惠介監督ならではの繊細な演出と、俳優たちの熱演が光ります。ぜひ一度、ご覧になってみてください。

わが恋せし乙女｜木下惠介の全作品　木下惠介生誕100年 - 松竹株式会社
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