わたしとわたし ふたりのロッテ

アニメ『わたしとわたし ふたりのロッテ』作品解説

『わたしとわたし ふたりのロッテ』は、1991年11月9日から1992年9月5日まで、日本テレビ系『三井不動産アニメワールド』枠で放送された日本のテレビアニメ作品です。ドイツの作家エーリッヒ・ケストナーによる児童文学『ふたりのロッテ』を原作としており、三井不動産アニメワールドシリーズの最終作品として放送されました。

放送局は日本テレビをキー局に、テレビ岩手、テレビ金沢、福岡放送が同時ネット、テレビ大分が遅れネットで放送されました。さらに、1998年にはNHK衛星第2テレビジョンでも再放送されています。

ストーリー

物語の中心は、原作に忠実でありながらも、約1年にわたる放送期間に合わせて物語が膨らまされています。原作にはないエピソードも加えられており、例えば、先生を驚かすための花火のエピソードや、泳げないロッテが川に飛び込んで泳げるようになるエピソードなどは、他のアニメ作品からの影響も垣間見えます。一方で、電話を使った双子のやり取りがないことや、原作に登場する人物がアニメ版では登場しないなど、原作と異なる点も存在します。これは、1949年当時のドイツと日本の社会情勢の違いを反映していると考えられます。

音楽

BGMには、ブラームスの『4手のためのワルツ集 作品39』第15番変イ長調が頻繁に使用されている他、ヨハン・シュトラウス2世の『ウィーンの森の物語』、モーツァルトの『管楽器のための協奏交響曲 変ホ長調 K.Anh.9』、J.S.バッハの『パルティータ第3番 BWV827』といったクラシック音楽が効果的に用いられています。これらの楽曲は、サウンドトラックにも収録されています。なお、原作で重要な役割を担うフンパーディンク作曲の『ヘンゼルとグレーテル』は、アニメ版では使用されていません。

登場人物

主人公であるロッテとルイーゼは、瓜二つの双子ですが、性格は対照的です。ロッテはしっかり者で生真面目、ルイーゼは明るくお転婆といった具合です。両親や周りの人物も個性的で、それぞれが物語に彩りを加えています。

ロッテ・ケルナー: ミュンヘン育ち。真面目で優しく、家事をこなし「小さな主婦さん」と呼ばれる。
ルイーゼ・パルフィー: ウィーン育ち。明るくお転婆で、正義感が強い。
ルートヴィッヒ・パルフィー: ルイーゼとロッテの父親。ウイーンの有名な音楽家。
ルイーゼロッテ・ケルナー: ルイーゼとロッテの母親。新聞記者。
レージ: パルフィー家に仕える家政婦。嘘つきでだらしがないが、根は優しい。
その他: ロッテとルイーゼの友人たち、教師たち、そして、物語を彩る様々な登場人物たちが登場します。

それぞれのキャラクターの個性や人間関係が丁寧に描かれ、視聴者の共感を呼びました。

スタッフ

豪華なスタッフ陣によって制作された本作は、高いクオリティで描かれたアニメーション、そして、クラシック音楽を効果的に使用した音楽、そして、魅力的なキャラクターたちが織りなす物語によって、多くの視聴者の心を掴みました。

原作: エーリッヒ・ケストナー 『ふたりのロッテ』
企画: 武井英彦（日本テレビ）
チーフディレクター: こだま兼嗣
キャラクターデザイン: 関修一
音楽: 大谷和夫
主題歌: Wink

ミュージカル

1992年には、このアニメをベースにしたミュージカル『わたしとわたし—ふたりのロッテ—』が後楽園アイスパレス劇場で上演されました。

その他

VHSビデオソフトも発売されましたが、現在は廃盤となっています。また、アニメを元にした単行本がポプラ社から出版されています。

まとめ

『わたしとわたし ふたりのロッテ』は、原作に忠実でありながらも独自の解釈を加え、魅力的なキャラクターと音楽、そして高いクオリティのアニメーションによって、多くの視聴者を魅了した作品と言えるでしょう。現在では入手困難なVHSビデオソフトや、放送終了から年月が経っているにも関わらず、未だに多くのファンに愛されている作品です。

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