わたしの王国

『わたしの王国』とは

『わたしの王国』（わたしのおうこく）は、日本のシンガーソングライターである辻詩音によって制作された、キャリア通算3枚目のオリジナルアルバムです。この作品は、前作にあたるアルバム『OH! MY MISTAKES!』のリリースから約2年という期間を経て発表されました。特に記念すべき点として、「辻詩音デビュー10周年記念アルバム」と銘打たれており、彼女のこれまでの活動における大きな節目を飾る作品として位置づけられています。本作はベルウッド・レコードよりリリースされました。

制作背景とコンセプト

デビューから10年という歳月を経て届けられた『わたしの王国』には、辻詩音自身が歩んできた音楽の道のり、そしてその経験から培われた独自の視点や感性が色濃く反映されています。アルバムタイトルが示唆するように、彼女の心の内や創造する音楽的な世界が「王国」として表現されており、リスナーをその世界へと誘い込むような作品構成となっています。約2年の制作期間を通じて、楽曲一つ一つが丁寧に練り上げられ、多様な音楽性が取り入れられています。

収録曲

本アルバムに収録されている全楽曲は、作詞・作曲ともに辻詩音自身が担当しています。彼女ならではの叙情的な歌詞とメロディーが、各楽曲の基盤をなしています。そして、その世界観をさらに豊かに広げるため、複数の実力派アレンジャーたちが編曲で参加しています。

アルバムは以下の全12トラックで構成されています。

1. 王冠 (編曲：楊慶豪)
2. Thunder (編曲：楊慶豪)
3. Space Drive (編曲：大沢圭一)
4. Interlude 〜Where’s my crown?〜 (間奏曲)
5. 砂漠 (編曲：SHION's WANDER BAND)
6. VR (編曲：江草一平)
7. YEAH LAND (編曲：楊慶豪)
8. 深海 (編曲：楊慶豪)
9. 秘密飛行 (編曲：江草一平)
10. 王国 -Welcome to my world- (編曲：楊慶豪)
11. Magic Hour (編曲：TACOS NAOMI)
12. Candy kicks -2007 ver.- (編曲：mw (岡和田“Waddy”拓也、福井昌彦))

アルバムの表題曲とも言える「王国 -Welcome to my world-」は、まさに本作の中心テーマを体現している楽曲と考えられます。また、「Interlude 〜Where’s my crown?〜」という間奏曲を挟むことで、アルバム全体に流れや物語性が生まれ、単なる楽曲集にとどまらない構成美を見せています。収録曲リストの最後には、インディーズ時代の楽曲である「Candy kicks」を新たに録音した「-2007 ver.-」が収められており、これはデビュー10周年という機会に、自身の音楽的な原点や歩みを振り返る意図が込められていることを示唆しています。

サウンドの特徴

サウンド面では、楊慶豪が多くの楽曲の編曲を担当しており、アルバム全体の音作りの要となっています。一方で、大沢圭一、SHION's WANDER BAND、江草一平、TACOS NAOMI、mwといった多様な個性を持つアレンジャーが参加していることで、楽曲ごとに異なる表情を見せています。ロック、ポップス、エレクトロニックな要素など、幅広い音楽スタイルが取り入れられており、アルバムに深みと多様性がもたらされています。

「王冠」「Thunder」「Space Drive」「砂漠」「深海」「秘密飛行」といった収録曲のタイトルからは、現実世界から想像の世界まで、様々な情景や感情が想起されます。これらの楽曲が織りなすサウンドと世界観は、まさに辻詩音がリスナーに向けて開示する自身の「王国」を構築していると言えるでしょう。

まとめ

『わたしの王国』は、シンガーソングライター辻詩音のソングライティング能力と、多様な才能を持つ編曲家たちの手腕が見事に融合した作品です。自身の音楽キャリア10周年という重要な節目を記念するにふさわしい、彼女の現在地と音楽世界が凝縮された一枚であり、これまでのファンはもちろん、初めて彼女の音楽に触れる人々にも、その魅力が伝わる代表的な作品と言えるでしょう。

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