わたらせ渓谷鐵道WKT-550形気動車

わたらせ渓谷鐵道WKT-550形気動車

概要

わたらせ渓谷鐵道のWKT-550形気動車は、2012年に製造されたトロッコ型の自走式気動車です。これは1998年から運行されている機関車牽引のトロッコ列車に新たに加わる形で登場しました。これにより、機関車なしでの運行が可能になり、運行の効率が大幅に向上しました。また、2011年に導入されたWKT-500形を基にした設計で、さらなる快適性と利便性を果たしています。

この車両は、特に観光客に人気があり、1989年に開業したじゃわたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車の運用を支えています。開業10周年を記念したこの車両の導入は、利便性や快適性を一層高めるための重要なステップとなりました。

車体の特徴

WKT-550形は、新潟トランシスが製造した地方交通線向けの気動車をベースにしています。特徴的なデザインには、側面の開放型窓があり、交替で固定式の窓に変更できる設備が整っています。運転席は両側に設けられ、乗客用扉は引戸で、利便性が考慮されています。車両内は木製のボックスシートで構成され、広々とした空間が確保されています。また、ドリンクホルダー付きのテーブルも設置されています。

さらに、車椅子利用者にも配慮し、トイレの近くにはバリアフリー設計のスペースが用意されています。トイレそのものは、身障者対応の真空式で清掃用具を収納するスペースが併設され、使いやすさが考慮されています。特筆すべきは、運転席に設けられた子供用のダミー運転台で、子供たちも楽しめる工夫がなされています。また、サービスカウンターでは地元キャラクターの展示や商品販売が行われています。

機能性

WKT-550形はパワフルな新潟原動機製のDMF13HZディーゼルエンジンを搭載し、力行指令はタッチパネルで容易に設定できます。エアコンは装備されていないものの、エンジンからの温風を利用した暖房装置が設置されています。このため、冷房のない場面でも快適さを保つ作りになっています。

走行性能

走行装置は、動力を効率的に伝達するための液体変速機を用いており、前台車と後台車の両方にボルスタレス空気ばね式の構造が採用されています。このため、安定した走行が実現され、観光客にも安心して利用されることでしょう。本車両は、滑りやすい路面での対策として砂まき装置も搭載しています。

運行状況

この気動車は、開業以来、桐生駅から間藤駅間で活躍しており、機関車牽引のトロッコ列車が運行されないルートでもスムーズに運転されています。過去の運用では、WKT-500形と連結したり、後に投入されたWKT-510形と編成を組む運用に変更されています。2014年5月には、お召し列車としても運行され、特別なイベントや行事にも対応できる多才な車両です。

結論

WKT-550形気動車は、その独自のデザインや機能性、そして快適な乗車空間が観光客にとっての魅力となっています。トロッコ列車として、自然の美しい風景を楽しむための移動手段として、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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