わんぱく機関車

わんぱく機関車（汽車のえほん26）

『わんぱく機関車（汽車のえほん26）』は、イギリスのウィルバート・オードリー牧師によって書かれた、低学年の児童向け絵本「汽車のえほん」シリーズの第26巻です。この作品は1972年に初めて発行され、オードリー牧師が手掛けた最後の巻でもあります。全4話の短編が収められ、挿絵はガンバーとピーター・エドワーズによって描かれています。日本語では1981年にポプラ社から翻訳版が刊行され、その後2004年に絶版となりましたが、2010年にはミニ新装版が登場しました。

作品の背景には、オードリー牧師が「井戸が干上がった」と感じたことがあり、この時点で「汽車のえほん」シリーズは一時的に終了を迎えることになりました。しかし、新キャラクターの登場や従来のスタイルを保った物語が展開されるため、作品自体はシリーズの整合性を失うことなく楽しむことができます。シリーズの続きは、息子のクリストファー・オードリーが執筆し、1983年に発表された27巻「ほんとうにやくにたつ機関車」が待たれることになります。

成立過程と作品の背景

本書は1945年からほぼ毎年続けていた「汽車のえほん」シリーズの一部であり、トーマスの支線の機関車たちについて描かれています。この巻の挿絵は、従来のダルビーやケニーとは異なるスタイルであることから一部の読者には評価が低いものの、機関車についての描写は非常に細部にわたり、その精度はシリーズ内で際立っています。

収録作品

本巻には以下の4つの物語が収められています。

1. ゆうれい列車 (Ghost Train)
2. け虫 (Woolly Bear)
3. ディーゼル機関車メイビス (Mavis)
4. トビーのつなわたり (Toby's Tightrope)

登場キャラクター

物語に登場するキャラクターの中で、特にメインキャラクターとして注目されるのは以下の通りです。

• - トーマス: この巻では少し生意気な性格が強調されており、彼が支線の物語をお願いしたという背景が付されています。
• - パーシー: デザインが大幅に変更され、実在の機関車に近い形状になりました。不評を買った部分もあったようです。
• - トビー: コミカルで愛らしい小さな機関車として登場します。

また、サブキャラクターとしては、オードリー牧師のキャラクターの中で長らく顔を描かれなかったアニーとクララベルが再登場し、デイジーや初登場のメイビスが存在感を示しています。メイビスは今回のストーリーの中で重要な役割を果たし、女性のディーゼル機関車として新たな視点を加えています。

作品の位置付け

この作品は、本来1971年に執筆予定であった内容が系列の他の作品の発行により延期され、1972年に発表となりました。日本語版の旧版の表紙には特徴的なシルエットが描かれており、そのシルエットは他の巻とは異なる謎のキャラクターが含まれていました。

『わんぱく機関車』は、ユニークな物語と新しいキャラクターの導入により、「汽車のえほん」シリーズに新しい風を吹き込んでいます。児童文学の中での位置付けも重要なものであり、今後の展開が期待される作品となっています。

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