アイギアロサウルス科

アイギアロサウルス科とは

アイギアロサウルス科（Aigialosauridae）は、モササウルス科に近縁な、半水棲の有鱗目の爬虫類です。この科の生物は、太古のテチス海の浅海域に生息していました。アイギアロサウルス科の系統的な位置づけについては研究者の間で意見が分かれており、独立した単系統群とみなす説がある一方で、モササウルス上科の基盤的なグループに位置づけられることもあります。

この科がモササウルス科の進化系統において重要な位置を占めることは、分子情報や形態学的情報からも示唆されています。アイギアロサウルス科を独立したグループとして扱わない場合、その定義はより広範囲になり、関係性が不明瞭な他の基盤的モササウルス上科の種も含まれることになります。たとえば、コメンサウルス、ハアシアサウルス、カルソサウルス、ダラサウルスといった属がこの科に含められる可能性があり、場合によってはモササウルス科全体（テティサウルス亜科など）を含むことさえあります。

モササウルス科の原始的な種を指す際には、「肢をもつモササウルス類」（plesiopedal mosasaurs）という用語が用いられます。

記載

アイギアロサウルス科の化石は、現在のクロアチアにあたる地域でのみ発見されており、これらの生物が太古のテチス海の浅海環境に適応していたことを示しています。頭骨の形状は派生的なモササウルス科の生物に似ているものの、頭部から後方の体の構造は陸生のトカゲに近い特徴を持っています。

分類

アイギアロサウルス科の分類体系は、複雑な歴史を辿っており、議論の的となっています。初期のモササウルス上科と、アイギアロサウルス科に通常含まれる2つの属（アイギアロサウルス属とオペティオサウルス属）の関係は、徹底的に再調査が行われました。

Dutchak & Caldwell (2009) は、オペティオサウルスをアイギアロサウルスのジュニアシノニム（後行異名）とすることを提唱し、両者が非常に近縁であることを示唆しました。しかし、彼ら自身の分析も、その結論を強く支持するものではありませんでした。また、その後の研究でも同様の結果が示されています。事実、Madzia & Cau (2017) の研究では、この2つの属が必ずしも近縁ではない可能性が指摘され、派生的なモササウルス科との比較が行われました。このことは、オペティオサウルスが独立した属であるだけでなく、アイギアロサウルス科が単系統群であるという説にも疑問を投げかけています。

このような研究結果は、アイギアロサウルス科の分類学的地位を明確にするためには、さらなる詳細な研究が必要であることを示唆しています。アイギアロサウルス科の系統的位置と内部の分類群構成を解明することは、モササウルス科全体の進化史を理解する上で非常に重要な課題と言えるでしょう。

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